法的確信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/05 15:36 UTC 版)
法的確信(ほうてきかくしん、羅:opinio juris sive necessitatis)とは、通説によれば国際慣習法の成立要件の一つ。法的信念、必要信念とも呼ばれる。国家による行為(国家実行)が国際法上の義務として行われているという認識のこと。法的確信がない国家実行は反復されても国際慣習法を形成しない。
国際礼譲
法的確信がない国家実行が反復される例として国際礼譲がある。これは、異なる管轄区域の国、州、裁判所などの政治的実体の間で、立法、行政、司法行為が相互に承認される原則または慣行であり、日本は1897年までに国際礼譲の原則を受諾し、例えば具体的には、相手国への輸出品に対し相手国が輸入関税を定めることを認めた[1]。このように、ある地域の中で立法や行政、司法行為が成立した場合は、他の地域はそれを承認する。言い換えれば、民族自決権が尊重されるということである。
また、例えば、「軍艦に対する礼砲」は儀礼として行われているものであり、国際法で定められた義務として行っているわけではないので、国際慣習法とは区別されている。ただし、当初は法的確信がなく儀礼や慣習として行われている行為であっても、後に諸国家が法的確信のもとに国家実行を反復すれば国際慣習法の成立要件を満たす為、国際慣習法となりえる。
脚注
- 出典
参考文献
- アレクサンダー・フォン・シーボルト 著、Charles Lowe 訳『Japan's accession to the comity of nations (日本による国家間の国際礼譲の受諾)』K. Paul, Trench, Trübner & co., ltd.、1901年 。
法的確信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/13 08:40 UTC 版)
「法的確信」、または「法的信念」とは、一般慣行に該当する「実行」を、国際法上の権利義務にもとづくものと認識して行っていることをいう。一般慣行に加えて慣習国際法形成のための要件とされる。慣習国際法成立のためには一般慣行だけで十分であり法的確信は不要とする見解も存在するが、この見解では例えば政治的な慣例や儀礼的な配慮に基づいて行われる法的権利義務を伴わない国際礼譲と慣習国際法との区別が難しくなることが指摘される。常設国際司法裁判所(以下PCIJ)も法的確信に関してはローチュス号事件判決において、国家がある行為を控える場合に関して、「そのような抑制がもしこれを控えるという義務の認識にもとづくものであるならば、この場合にのみ国際慣習を語ることができる」としている。
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