沸騰と蒸発と気化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 03:27 UTC 版)
液体が気体に変化する現象を、一般に気化 (vaporization) という。沸騰と蒸発はどちらも気化の一種である。液体の表面から気化が起こる現象を蒸発 (evaporation) という。それに対して、液体の表面からだけでなく、液体の内部からも気化が起こる現象を沸騰 (boiling) という。液体の内部で気化が起こると、気化した蒸気が液体の内部に気泡を生じる。蒸発では気泡は生じない。よって、液体が沸騰しているのか、それとも蒸発しているだけなのかは、気泡の発生の有無で見分けることができる。液体から気泡が絶え間なく湧き上がるように発生するなら、その液体は沸騰している。 沸騰している液体の温度は、その液体の沸点にほぼ等しい。一定の外圧のもとでは純物質の沸点は物質固有の値であるので、純物質が一定の外圧のもとで穏やかに沸騰している間は、その液体の温度は一定に保たれる。 沸騰は、沸点より低い温度では決して起こらない。それに対して蒸発は、沸点より低い温度でも起こる。水に濡れた食器や衣服が 100 ℃ よりも低い温度で乾くのは、水が沸騰するからではなく、水が蒸発するからである。蒸発は沸点より低い温度でも起こるので、沸点を「液体が蒸発して気体に変化するときの温度」と解釈するのは誤りで、「液体が沸騰して気体に変化するときの温度」と解釈するのが正しい。これは、融点を「固体が溶解して液体に変化するときの温度」と解釈するのが誤りで、「固体が融解して液体に変化するときの温度」と解釈するのが正しいのと似ている。
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