氏族系譜のヒ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 09:47 UTC 版)
新撰姓氏録にはヒを始祖とする氏族が皇別および神別すなわち天孫・天神系の84%を占める。皇別はすべてタカミムスヒを始祖としている。神別は400余りある氏の内280余りがヒの始祖をもつ。その内訳はタカミムスヒ35氏、ヒギハヤヒ106氏、ツハヤムスヒ41氏、カミムスヒ53氏、ほかにアメノホヒ、ヒノハヤヒ、ヤスムスヒなどがある。一方で天孫・天神系氏族はヌシの神名や称号をほとんど持たない。これは古事記の出雲系譜や地祇系では「ヒ」の語尾を持つ神・人名がほとんど見られない一方で「ヌシ」が核の一つになっているのと対照的である。ヌシをもつ神名や称号は地方首長的な出雲系譜や地祇系にのみ集中している。このように、氏族系譜において「ヒ」と「ヌシ」は完全に対立している。「これは作為的な操作による観念上の対立ではなく現実の歴史的な対立と考えなければならない」。「これらの現象の背後には大和朝廷の支配層と土着の地方豪族の間の歴史的・政治的な対立を想定せざるをえない」。これは「ヒ」に代表されるヤマト王権の支配層が「ヌシ」に代表される地方首長と対立するグループであったことを示唆する。
※この「氏族系譜のヒ」の解説は、「ヒ (日)」の解説の一部です。
「氏族系譜のヒ」を含む「ヒ (日)」の記事については、「ヒ (日)」の概要を参照ください。
- 氏族系譜のヒのページへのリンク