毛皮をまとったエレーヌ・フールマンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 毛皮をまとったエレーヌ・フールマンの意味・解説 

けがわをまとったエレーヌフールマン〔けがはをまとつた‐〕【毛皮をまとったエレーヌフールマン】

読み方:けがわをまとったえれーぬふーるまん

原題、(オランダ)Hélène Fourment met een bontmantel》ルーベンス絵画。板に油彩ルーベンス2番目の妻エレーヌビーナス見立てて描いた作品ウィーン美術史美術館所蔵小さな毛皮毛皮さん


毛皮をまとったエレーヌ・フールマン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/30 14:14 UTC 版)

『毛皮をまとったエレーヌ・フールマン』
オランダ語: Portret van Hélène Fourment met een bontmantel
英語: Portrait of Hélène Fourment with a fur coat
作者ピーテル・パウル・ルーベンス
製作年1636年 - 1638年
種類油彩[1]
寸法178.7 cm × 86.2 cm (70.4 in × 33.9 in)
所蔵美術史美術館ウィーン

毛皮をまとったエレーヌ・フールマン[1](けがわをまとったエレーヌ・フールマン、: Portret van Hélène Fourment met een bontmantel[2])は、フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスにより1636年から1638年頃に描かれた絵画である[1]

エレーヌ・フールマン[3]または『毛皮ちゃん[1][4]毛皮さん』『小さな毛皮[5]ペルスケン』 (: Het Pelsken)[6] とも。ウィーンにある美術史美術館に収蔵されている[1][7]

概要

ティツィアーノ『毛皮をまとった婦人像』
ルーベンス『毛皮をまとった婦人像』

ルーベンスは1626年、49歳のときに、最初の妻イザベラ・ブラントを亡くした後[8]1630年、53歳のときに、アントウェルペンの絹織物商人の娘で、当時16歳のエレーヌ・フールマンと再婚する[6][9]。この肖像画は、エレーヌを美の女神、ヴィーナスに見立てて製作された[1][10][11]

ルーベンスは、イタリアの画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオ1535年頃に描いた『毛皮を着た若い女性』を模写した同名の作品を1629年から1630年頃に製作しているが、本作『毛皮をまとったエレーヌ・フールマン』は、ティツィアーノの同作をベースとして描かれている[4][12]。ルーベンスは、遺言の中で本作について「毛皮さん」(ペルスケン)と呼んで、エレーヌに本作を遺贈している[6][13]

作品

1人の裸婦が毛皮のコートをまとい、こちらを向いて立っている様子が描かれている。片方の腕で胸を、もう片方の腕で下腹部を隠しているが、このポーズは、古代の彫像にみられる「恥じらいのヴィーナス」 (Venus pudica) と呼ばれるポーズに倣ったものである[1]

本作の中の女性は、茶色の眼をしているが、エレーヌは青色の眼をしていた[1]。画面の右端には、ライオンの顔の形をした噴水頭が描かれている[14]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h 『芸術新潮』 2018, p. 36.
  2. ^ Portret van Hélène Fourment (1614-1673) met een bontmantel”. オランダ国立美術史研究所. 2019年3月3日閲覧。
  3. ^ 『芸術新潮』 2018, p. 23.
  4. ^ a b 仲宇佐ゆり (2013年3月14日). “やわらかな頬、筋骨隆々の肉体 「フランダースの犬」の少年ネロが、憧れた才能”. 東洋経済新報社. 2019年3月3日閲覧。
  5. ^ 伊藤朋子 (2018年12月1日). “西洋絵画における裸婦像”. 東京外国語大学. 2019年3月3日閲覧。
  6. ^ a b c 『名画への旅』 1993, p. 33.
  7. ^ ルーベンス 愛と平和の祈りを絵筆にこめて 「エレーヌ・フールマンと二人の子供」”. ビーエス朝日. 2019年3月3日閲覧。
  8. ^ 高橋裕子. “ルーベンス工房の版画制作”. 学習院大学. 2019年3月3日閲覧。
  9. ^ ネロが憧れた画家ルーベンスは、嫌味なくらい「できる男」だった”. 講談社. 2019年3月3日閲覧。
  10. ^ 「画家の王」ルーベンスとイタリア。その芸術形成のプロセスを読み解く”. 美術手帖 (2018年12月1日). 2019年3月3日閲覧。
  11. ^ ルーベンス、多才な巨匠の家族愛の物語〈前編〉”. 三井ホーム (2018年10月29日). 2019年3月3日閲覧。
  12. ^ 『芸術新潮』 2018, p. 59.
  13. ^ Helena Fourment ("The Little Fur Coat")”. 美術史美術館. 2019年3月3日閲覧。
  14. ^ Point of view #13”. 美術史美術館. 2019年3月3日閲覧。

参考文献



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「毛皮をまとったエレーヌ・フールマン」の関連用語

毛皮をまとったエレーヌ・フールマンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



毛皮をまとったエレーヌ・フールマンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの毛皮をまとったエレーヌ・フールマン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS