比例式定数配分の方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 15:43 UTC 版)
先に総定数を定めておく場合と、各区域に定数を定めた結果、総定数が定まる場合とがある。以下は先に総定数を定めておく場合である。 以下に挙げる方法の中には、比例代表制において各党の当選者数を配分する場合にも用いられるものがある。 最大剰余方式 ある数Xで区域の人口を割り、まず商の整数部分をまず確定する。次に商の小数部分の大きい地域から順に1ずつ追加して総定数に達するまで続ける。Xは議員一人当たり人口、即ち総人口÷総定数の値が用いられる(ハミルトン式という)。アメリカで過去に用いられたことがある。 どの程度の人口規模の区域が得をするということはなく、比例的な配分である。 但し数字の偶然によるためアラバマのパラドクスを生むという大きな問題がある。 ドント式 ある数Xで各区域の人口を割り、商の小数点以下を切り捨てて、合計が総定数に等しくなるようなXを見つける。具体的には、各区域人口を順に1, 2, 3, 4,...で割り、得られた数の大きい順に配分して総定数に達するまで続ける。ジェファーソン式ともいう。アメリカで過去に用いられたことがある。 人口規模の大きい区域が著しく得をする。 サン・ラグ式 ある数Xで各区域の人口を割り、商の小数点以下を四捨五入して、合計が総定数に等しくなるようなXを見つける。具体的には、各区域人口を順に0.5, 1.5, 2.5, 3.5,...で割り(1, 3, 5, 7,...で割っても同じ)、得られた数の大きい順に配分して総定数に達するまで続ける。サント・ラゲ式、ウェブスター式ともいう。アメリカで過去に用いられたことがある。 僅かに人口規模の小さい区域が得をするがおおむね比例に近い。 アダムズ式 ある数Xで各区域の人口を割り、商の小数点以下を切り上げて、合計が総定数に等しくなるようなXを見つける。具体的には、各区域人口を順に1/∞, 1, 2, 3,...で割り、得られた数の大きい順に配分して総定数に達するまで続ける。全ての区域に必ず1以上の配分が行われる。最初に1を配分した後、残りをドント式で配分すると言っても同じ結果になる。 人口規模の小さい区域が得をする。反面、議員1人当たり人口の最大/最小格差は小さくなる。 ハンチントン式 一方の区域から別の区域に1議席を移動しても1議席当たりの人口の相対差(比)が下がらないように、各区域の定数を定める。具体的には、幾何平均即ち、1/∞, 1.414, 2.449, 3.464,... n ( n + 1 ) {\displaystyle {\sqrt {n(n+1)}}} ...,で割り、得られた数の大きい順に配分して総定数に達するまで続ける。ヒル式、均等比式ともいう。全ての区域に必ず1以上の配分が行われる。アメリカ合衆国下院の各州への配分に用いられている。 人口規模の小さい区域が得をする。規模の大きい方が得をすると言われることもある(西平重喜)が、最初に1を配分しなければならないことを見落としたものである。 ディーン式 ある数Xに議員1人当たり人口ができるだけ近くなるようなXを見つける。具体的には、調和平均即ち、1/∞, 1.333, 2.400, 3.429,... 2 1 n + 1 n + 1 {\displaystyle {\frac {2}{{\frac {1}{n}}+{\frac {1}{n+1}}}}} ..., で割り、得られた数の大きい順に配分して総定数に達するまで続ける。全ての区域に必ず1以上の配分が行われる。 人口規模の小さい区域が得をする。
※この「比例式定数配分の方法」の解説は、「議員定数」の解説の一部です。
「比例式定数配分の方法」を含む「議員定数」の記事については、「議員定数」の概要を参照ください。
- 比例式定数配分の方法のページへのリンク