暗譜に関する逸話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 00:05 UTC 版)
過去のクラシック音楽の分野においては、楽譜を見ながら演奏することは決して恥ずかしいことではなく、むしろ通常の行為として行われてきた。この流れが変わったのはクララ・シューマンに暗譜の習慣があったためで、広まった理由の大半は「かっこいいから」。しかし、そのころの暗譜演奏に対する評価は賛否両論であった。暗譜演奏が現在の様な意味合いを持ったのは、もう少し後の時代である。なお、クララ・シューマンが暗譜をはじめたのは、楽譜はおろか鍵盤すら見ずに演奏をしていたフランツ・リストの影響と言われている。 「吹奏楽コンクール」などの演奏団体でも全員が暗譜で演奏する風景が見られるようになった。見た目のかっこよさや演奏曲に対する理解度を深める、またそれを審査員へアピールするという両面で効果的であるからと推測される。 指揮者の暗譜というのはあまり多くない。これは全体の演奏を管理する上でどうしても楽譜(スコア)が必要であり、忘れてしまうと演奏が止まってしまう、という最大のリスクが伴うからと推測される。 アルトゥーロ・トスカニーニは暗譜で指揮し、トスカニーニに私淑したヘルベルト・フォン・カラヤンもそれにならったが、トスカニーニが暗譜で指揮したそもそもの理由は「強度の近視で譜面台に置いた楽譜が読めないから」であった(トスカニーニが引退を決意した演奏会では、途中で暗譜していた楽譜を忘れてしまい、演奏が混乱するというハプニングが発生している)。 合唱の分野では低学年でも暗譜で演奏することが多い。これは歌詞があることで楽譜を暗記する手助けとなっているからである。 クラシック音楽以外の分野では主に暗譜が基本である。
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