春風のあげく
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「小説サンデー毎日」1972年1月号掲載。 ある藩の重臣の息子・忠之進には、嫁にと考えていた隣家の幼馴染の娘がいた。しかし、この娘は正室との間に子供が産まれない殿様の側室となることになった。互いに憎からず想っていたこともあり、1度限りの契りを交わした。側室に上がった娘は1年後に男児を出産し、この男児が後継ぎとなる。忠之進は跡継ぎになった若君が、ひょっとしたら自分の子種かもしれぬと考え、せめてものためにと藩の財政が豊かになるよう学問にはげみ、仕事に精を出す。 やがて、忠之進は城代家老に出世。側室に上がった娘は病に亡くなったものの、若君と相対し、これは自分の息子だと確信。藩のためにといっそう仕事に打ち込む。 しかし、後を継いだ若君には、一々父親面をする古株家老の忠之進が煩わしい。忠之進の強い勧めで嫁にもらった将軍家側室の娘とはうまく行かず、自身の側室を増やすのみ。そして忠之進の娘を側室にと望むも、忠之進だけはこれが異母兄妹であることを知るため、猛反対。とうとう忠之進は隠居させられ、若殿が側室に産ませた子供を養子にさせられた。 忠之進は、これからは自身の孫を育てることを楽しみにしようと、養子を迎え入れたが、どうも養子は自分にも若殿にも似ていない。忠之進は疑惑を抱く。この養子は間違いなく側室の子であろうが、父親はどうなのだろう……。
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