新アッシリア版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 17:15 UTC 版)
あるときアヌは、カカという使者をエレシュキガルの元に遣わし、毎年恒例の宴会の席のご馳走を持ち帰るように伝えた。冥界と地上の神々はお互いの領域を行き来することを禁じられていたため、エレシュキガルではなくナムタルが地上を訪れる。しかし、はるばるやって来たナムタルを、戦と悪疫の神ネルガルが(おそらく外交的な問題に発展するほど)侮辱してしまった。知恵の神エアは問題解決のため、ネルガルを使者として冥界へ送ることに決め、この際、エアはネルガルに冥界でどのように過ごすべきか、などの助言を授けた。 最初こそエアの言葉に従うネルガルだったが、水浴びをするエレシュキガルの姿に魅せられ屈してしまい、エレシュキガルと情熱的に愛し合い6日間に渡る行為に及んだ。ところが、ネルガルは7日目の朝になると突然地上へ帰還。冥界との修好が済んだものと判断したためである。一方、エレシュキガルはネルガルに激しく惚れ込んでしまっており、冥界を去ったネルガルを思って嘆き悲しんだ。ナムタルは、ネルガルを再び冥界へ連れて来ることをエレシュキガルに提案する。 エレシュキガルは地上の3大神アヌ・エンリル・エアに「私は幼い頃ころから、少女のように遊ぶこと、子どもらしくふざけることを知りませんでした。私を孕ませたあの神が、再び私と寝るように、再び恋人として夜を過ごさせてください」と伝えさせた。更に、「もしネルガルを冥界へ寄こさなければ、冥界から死者を蘇らせ生者よりも多くしてやる」と脅しをかける。結果、ネルガルは再び冥界へと下ってエレシュキガルと夫婦になった。やがて2人は、医術の神ニンアズを授かった。 なお、この際ネルガルは武力で7つの門を破り、王座からエレシュキガルを引きずりおろしたという。乱暴なネルガルの行いを受けても、エレシュキガルは尚のこと「妻にしてほしい」とネルガルに涙を流して頼み込み、ネルガルもまたエレシュキガルの涙を拭いてその願いに応じたとされる。
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