放置された地図混乱問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/30 02:07 UTC 版)
「住吉台 (大津市)」の記事における「放置された地図混乱問題」の解説
当地区はもともと山の斜面だった土地を、1960年代に宅地造成業者により買収され、宅地開発が行われた場所である。この業者は、造成地の中心部にあった農地の宅地転用の許可を得ることが難しかったことから、近くの別の地番を貼り付けて分筆するなど、法務局保管地図の地番配列を無視した測量図を作成した上で販売した。一方で、各地で多くの新興住宅地が建設されたこの時期、あまりの登記申請の多さに、法務局は現地確認をろくにしないまま登記許可を出してしまったという。そのため、約12万㎡にわたって地図混乱問題を生じさせることとなった。 具体的には、「地権者不明の土地」、「所在地不明の地番」、「複数の地番が重なり合う土地」などの事例がみられる。そもそもの地図が明治時代に作成されたもので、その後に何の訂正も加えられておらず、実際に使用される現状とは大きくかけ離れている。 1992年(平成4年)に当地区に2筆の土地を保有していた当時の宅地造成主が死亡。この者に相続人がいなかったため、土地が家庭裁判所の管理下に置かれ、任命された相続財産管理人により競売に付された。その後、当地区周辺で宅地開発が進むにつれ、問題が顕在化。「住吉台に住んでいるあなたたちは全員(土地所有権のない)『占有状態』です」などと法務局の職員から言われる中で、境界紛争など、少なくとも10件の民事裁判が提起された。地図混乱問題に気づいた法務局が1995年(平成7年)から当地区の実態調査に乗り出したものの、登記は存在するが実際の土地がない「所在地不明の地番」(いわゆる幽霊土地)の存在が41件確認され、正確な地図作成には至っていない。
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