擾乱の発生原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 02:25 UTC 版)
擾乱は厳密には「定常状態からの乱れ」と定義されている。定常状態とは今述べた例のように、着目している現象(例えば川の場合だと流れの中で起きる小さな渦など)よりも時間的にも空間的にもスケールが大きな現象のことをいう(この場合は川の流れ)。 ただし、気象学ではかなり広義に用いられる用語であり、低気圧や低気圧の発生が見込まれる領域のことを擾乱といったりもする。 擾乱は大気中に力学的・熱力学的不安定(主に気圧や温度の乱れのこと)が生じたときに発生する。すなわち、その不安定な状態を解消しようとして起きる運動が擾乱である。例えば、偏西風波動により気圧の尾根から気圧の谷に吹く風は、地上よりも上空のほうが気圧が高いという力学的不安定が生じるために、それを解消しようと下降気流が発生し、結果的に高気圧という擾乱が生じる。そして、ここで不安定が解消された以上、これ以上大きな擾乱が発生することはできず、その擾乱の時間的・空間的スケールが決定する。 上記から分かるように、擾乱はその不安定の種類によって時間的・空間的スケールが決まるので大気中には様々なスケールの擾乱が存在する。ただし、それらのスケールの現象が個々に存在するのではなく、それぞれ密接な関連性をもっている。これを擾乱の階層構造と呼ぶ。
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