擬態複合体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 07:19 UTC 版)
ミューラー型擬態環を形成するマルハナバチ属Bombus の種 セイヨウオオマルハナバチB. terrestris B. lucorum B. hortorum B. hypnorum ミューラー型擬態はしばしば複数種からなる擬態関係を形成し、擬態環と呼ばれる。ミューラー型擬態環はチョウにおけるものが有名だが、ハチ目など他の昆虫や、魚、サンゴヘビなどでも擬態環が見られることがある。例えばマルハナバチ属の種はみな黄色、黒、白の縞からなる警告色を示し、メスはどの種でも毒針を持っているため、捕食者にとって有害な獲物であると言える。このマルハナバチの警告色は世界の各地で独立に進化したと考えられ、地域ごとに1つから4つほどの擬態環が存在し、地域ごと、擬態環ごとに少しずつ異なった体色のパターンがみられる。 擬態者同士の関係は時に非常に複雑になる。例えばイソギンポ科のヒゲニジギンポ属(英語版)の魚は毒腺を持ち、捕食者の魚に避けられる。同じイソギンポ科のPlagiotremus townsendi は、ヒゲニジギンポと似た体色を示すが無毒で多くの魚の捕食対象となる。従って、この種はベイツ型擬態者だと言える。しかしこの種は一方でハナミノカサゴには嫌われるため、ミューラー型擬態者でもあると言える。 お互いに関連する擬態環どうしの集合を擬態複合体と呼ぶ。例えばDasymutilla 属のアリバチは大きな擬態複合体を形成することで知られる。ある研究では、調査の対象とした351種のうち、336種が類似した形態を示し、そのうちに8つの異なる擬態環が見られるとされた。他の研究では、調査した65種の中に、地理的・形態的に区別できる6つの擬態環の存在が確認されたこともある。
※この「擬態複合体」の解説は、「ミューラー型擬態」の解説の一部です。
「擬態複合体」を含む「ミューラー型擬態」の記事については、「ミューラー型擬態」の概要を参照ください。
- 擬態複合体のページへのリンク