摩擦が発生するメカニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 01:23 UTC 版)
アモントンの素朴な凹凸説は否定されて久しいが、道路とゴムの間の摩擦のように表面粗さの効果が優位となる状況は多い。慣性力よりも表面力が支配的となるマイクロスケール・ナノスケールでも表面粗さと接触面積が物体の動摩擦に影響する。 現在一般に理解されているところでは、動摩擦の原因は大きく分けて3つある。(1) 摩擦面のあちこちにある真実接触部が化学結合を作り(凝着)、滑り面の運動とともに破断と再凝着を繰り返す(凝着摩擦)。(2) 表面の凹凸が互いにぶつかり合って弾性変形を起こし、そのときに内部摩擦によって力学的エネルギーの一部が熱に変わる(弾性変形抵抗)。(3) アスペリティがもう一方の面に突き刺さり、面を掘り起こしながら進んで行くため仕事が必要となる(掘り起こし摩擦)。その他の塑性変形を4つ目に数えることもある。これらの3つの原因による抵抗力をそれぞれ F 1 {\displaystyle F_{1}} 、 F 2 {\displaystyle F_{2}} 、 F 3 {\displaystyle F_{3}} とすれば、摩擦力はその和で与えられる。 F = F 1 + F 2 + F 3 {\displaystyle F=F_{1}+F_{2}+F_{3}} 高分子の摩擦では弾性変形の効果 F 2 {\displaystyle F_{2}} が主要な寄与を生むことが知られている。弾性ヒステリシスの小さい金属どうしの場合、乾燥摩擦では凝着破断の効果 F 1 {\displaystyle F_{1}} が大きいが、よく潤滑されていれば掘り起こしの効果 F 3 {\displaystyle F_{3}} の割合が上昇する。
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