排泄過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 06:31 UTC 版)
排泄過程においては尿細管分泌・再吸収での相互作用が多い。 尿細管分泌 尿細管分泌とは担体を介して血中から尿細管中に薬剤を能動的に排出する経路である。尿細管分泌に関与する輸送タンパク質として、酸性薬物を輸送する有機アニオン輸送系トランスポーター (OAT1)、塩基性薬物を輸送する有機カチオン輸送系トランスポーター (OCT2)、P-糖タンパク質があり、同一の輸送体により排泄される薬剤を併用投与すると競合が起こり、尿中排泄量が低下、血中濃度の上昇につながる。例えば、キニジンとジゴキシンは共にP-糖タンパク質により排出されるが、併用によりジゴキシンの血中濃度が上昇し、ジギタリス中毒を引き起こす可能性がある。 尿細管再吸収 薬物の再吸収とは一度尿中に排泄された薬剤が、尿細管通過中に再度吸収され、血中に引き戻されることである。薬物は体内で分子型とイオン型との平衡状態にあるが、それぞれの存在比率は尿中のpHに大きく左右される。それにより薬物の分子型・イオン型の比率が変化することが知られており、分子型はより脂溶性が高いために生体膜の透過性が高く、分子型分率が上昇すると再吸収率が増加する。しかし、尿が酸性・塩基性のどちらで再吸収率が上昇するのかはそれぞれの薬剤により異なる。薬剤によっては尿のpHを変化させるものがあるが、それにより薬効をどのように変化させるのかもまた相手の薬剤により異なる。 酸性条件塩基性条件弱酸性薬物 R-COOH(分子型) ⇔ R-COO-+H+(イオン型) 弱塩基性薬物 R-NH3+(イオン型) ⇔ R-NH2+H+(分子型)
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