打ち上がった鋼蓋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 02:45 UTC 版)
「パスカルB」実験中に、900キログラムの鋼の蓋(装甲板の一部)が毎秒66キロメートル以上もの速度で実験縦坑の上空へと打ち上がった。実験前、実験考案者のロバート・R・ブラウンリー博士(Dr. Robert R. Brownlee)は、縦坑の特殊な設計と核爆発が組み合わさることで、蓋が脱出速度の6倍にまで加速されうるという高精度な近似計算を行った。結局この蓋は発見されなかった。しかしブラウンリー博士は蓋が大気圏外までは脱出していないと信じていた(それほどの高速では衝突した大気の断熱圧縮による空力加熱によって気化してしまう)。事前に算出された速度が大変興味深かったため、実験チームは蓋をハイスピードカメラで捉えようと試みた。実験後、蓋が記録されていたのはわずか1フレームのみであったが、しかしこれは速度の下限値が非常に高いことを示していた。ブラウンリー博士は実験後、証拠写真から最大限見積り可能な蓋の速度を「凄まじく速い!」("going like a bat")と述べている。これ以来、地下坑と核爆発装置を利用して脱出速度まで物体を推進させることを「サンダーウェル(thunder well = 轟雷の縦穴、雷の井戸)」と呼ぶようになった。 この出来事は、核爆発を使った外宇宙推進の研究であるオリオン計画の技術的根拠のひとつだと言われている[要出典]。
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