愛を注いだ者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/01 03:33 UTC 版)
『ギルガメシュ叙事詩』におけるシャマシュの位置づけ、ないし性格や神格は、ギルガメシュに対するこういった個人神としての性質に近い。ギルガメシュを特別に気に掛け庇護するという、一貫して彼の意志を尊重した振る舞いがほとんどだからである。正義の神としては「この世の全悪」と呼ばれ恐れられるフンババ征伐への介入に、占いの神としては神託を占う場面にそれぞれ見出すことはできるが、冥界神という面に至っては全く触れられていない。宗教的な面よりも強調されているのは、やはり個人神としてのシャマシュだった。 2人の関係の始まりは、ギルガメシュの誕生時にまで遡る。シャマシュはギルガメシュを見目麗しい容姿に仕上げ、自分の作品を愛でるかのごとく過剰ともいえる加護を与えていく。ギルガメシュ自身も、父であるルガルバンダに対してよりも多くの捧げものをし、重要な場面で祈りを捧げる相手はシャマシュの他に居なかった。こうしたシャマシュの加護は物語の枠を超え、冥界に降りたギルガメシュに冥界神としての権能を授けるなど、ギルガメシュが生きている間だけではなくその死後にまで及んでいったと伝えられている。なぜシャマシュが個人神らしき側面を持ち得たのか、ギルガメシュの守護に就いたのかといった理由は詳らかではないが、2人が密接な結びつきを見せていることは理解に容易い。より端的に言い示すならば、ギルガメシュはシャマシュに「愛された者」とあるため、詰まる所、シャマシュはギルガメシュを「愛した者」と言える。
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