恩田侑布子とは? わかりやすく解説

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恩田侑布子

恩田侑布子の俳句

あしゆびをそよがせ涅槃したまへり
あの世この世つりあふ春の時雨かな
あふみのうみいろありやなしひなあられ
あんたはんどこいかはるのはるのつち
いつかここに来ること知りし冬泉
おしろいのはなにかくれてははをまつ
くろかみのうねりをひろふかるたかな
こないとこでなにいうてんねん冬の沼
この亀裂白息をもて飛べと云ふ
ころがりし桃の中から東歌
さらば少年薄氷高く日へ投じ
しろがねの露の揉みあふ三千大世界
たぎつ瀬の白濁したり山櫻
ただいまと骨壷に云ふ寒さかな
なにもない河童の皿を撫でてごらん
ひよめきや雪生のままのけものみち
ふるさとや冬瓜煮れば透きとほる
またの世は青磁双魚として逢はむ
また育つ古き写真の雲の峰
まどろみにけり薔薇園に鉄の椅子
むかしむかしのなみだのにほひさくらもち
もう居らず月光をさへぎりし父母
もう居らず月光をさへぎりし父母
ゆきゆきてなほ体内や雪女
わが影をいくつはみ出し落椿
わが恋は芒のほかに告げざりし
わが視野の外から外へ冬かもめ
ジーンズに腰骨入るる薄暑かな
一瀑があり恋の火のまうしろに
一生これしだれざくらのそよぎかな
三つ編みの髪の根つよし原爆忌
亥の子餅全き白髪とはなりぬ
冬ともし古筆たどるは息辿る
冬川の瘦せつつ天に近づけり
冬泉きみを忘るるために生く
分かち合ひしは冬霧の匂ひのみ
初夢のくちびるに来し檜の秀
加賀の雪吊ほどの女に逢はぬと云ふ
勝ち負けをすぐ云ふをとこ茗荷の子
吊し柿こんな終りもあるかしら
吊橋の真ん中で逢ふさくらの夜
吐く息のもう秋風になつてゐる
告げざる愛地にこぼしつつ泉汲む
国境は放歌上がりぬ犬ふぐり
地球これ乗り合はせたる宝船
夏野ゆく死者の一人を杖として
夕焼のほかは背負はず猿田彦
大枯野婆娑羅の翅のむづがゆく
天網は鵲の巣に丸めあり
好きなのは青紫蘇、名誉なき男
 

恩田侑布子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/27 22:21 UTC 版)

恩田 侑布子(おんだ ゆうこ、1956年9月17日 - )は、俳人静岡県静岡市出身。

経歴

静岡県立静岡高等学校在学中より、短歌俳句を始める。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。在学中に両親が離婚したこともあり、言葉から離れるため、卒業後は陶芸家を志す。その後腎臓病を発症し陶芸の道を断念し、俳句を再開。摂津幸彦に誘われ「豈」同人となる。種村季弘池内紀、平賀敬らの「酔眼朦朧湯煙句会」、草間時彦捌きの連句「木の会」を終会まで楽しむ。16年間書き溜めた評論をまとめた芸術・俳句論集『余白の祭』を2013年に発表。同作で松本健一の選考により第23回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。現代俳句評論賞選考委員。

2014年1月29日、「感情の華――恋と俳句・日本文化の土壌」と題した講演会がパリ日本文化会館で開催された。同年12月9日、コレージュ・ド・フランスにて「俳句――他者への開け」をテーマに講演。さらに、「花の俳句――日本の美と時間のパラドクス」をめぐる講演と日本語・フランス語による俳句朗読パフォーマンスも行った(12月11日於ジャン・ムラン・リヨン第三大学、同12日於エクス・マルセイユ大学、同13日於パリ日本文化会館)。[1]

2015年9月13日、静岡県立美術館において「富士の国から――日本の美と時間のパラドクス」と題する講演を行った。

『墨』(芸術新聞社)2015年1・2月号より、俳句を中心とした日本文化論「水、 呼び交わす」を連載開始。また、『ひととき』(ウェッジ)2016年1月号より、「土のうた」をクォーターで連載している。

2004年4月からSBS学苑「楽しい俳句」講師。2017年、句集「夢洗ひ」で第67回芸術選奨文部科学大臣賞[1]現代俳句協会賞を受賞。同年、第9回桂信子賞受賞。2018年より現代俳句協会賞の選考委員。2019年4月より、『読売新聞 夕刊』「たしなみ」エッセー連載(4週毎)。2020年2月号より角川『俳句』「偏愛俳人館」毎号連載。

著作

句集

評論集

  • 『余白の祭』(深夜叢書社、2013年)
  • 『渾沌の恋人 北斎の波、芭蕉の興』(春秋社、2022年)
  • 『星を見る人 日本語、どん底からの反転』(春秋社、2023年)

編著

  • 『久保田万太郎俳句集』(岩波文庫、2021年)

朗読

  • 『久保田万太郎俳句集(解説)』(岩波文庫Amazonオーディブル 2022年8月刊)

活動

選考委員

  • 芸術選奨 推薦委員 平成30年〜令和2年度(文化庁主催)
  • 芸術選奨 文学部門審査員 令和3年(文化庁主催)
  • 現代俳句評論賞 選考委員 2015年〜2017年(現代俳句協会主催)
  • 現代俳句協会賞 選考委員2018年〜(現代俳句協会主催)
  • 全国高校生俳句大賞 選考委員2021年〜(神奈川大学主催)

出典

外部リンク

  1. ^ 橋爪功、浦井健治、宮藤官九郎、庵野秀明ら各分野の実力派が受賞「平成28年度(第67回)芸術選奨」”. SPICE. イープラス (2017年3月14日). 2025年6月27日閲覧。



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