恒等関係式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/07/14 10:08 UTC 版)
二つの二項演算を持つ環と類似の構造は、何の制約もなければ非常に広範なクラスであって、議論を展開するには一般すぎる。それが故に、何らかの意味で乗法を簡素化する恒等式を満足するような分配多元環として、いくつかの種類がよく知られている。例えば以下のようなものが挙げられる。 以下、x, y, z を多元環の任意の元とする。 結合性: (xy)z = x(yz). 対称性(可換性): xy = yx. 反対称性(反交換性、交代性): xy = −yx. ヤコビ恒等式: (xy)z + (yz)x + (zx)y = 0. ジョルダン恒等式: (xy)x2 = x(yx2). 冪結合性: xm xn=xn+m(m, n は非負整数)。これは a, b, c が任意に選んだ元 x の非負整数冪ならば a(bc)=(ab)c といっても同じである。 交代結合性: (xx)y = x(xy) かつ (yx)x = y(xx). 柔軟性: x(yx) = (xy)x. これらの性質の関係性は 「結合的」⇒ 「交代結合的」⇒「冪結合的」 「結合的」⇒「ジョルダン」⇒「冪結合的」 「結合的」、「対称的」、「反対称的」、「ジョルダン」、「ヤコビ」の各条件から「柔軟性」が従う。 標数が 2 でない体上の多元環については、対称かつ反対称ならば、その多元体が {0} に他ならないことが言える。
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