強結合と弱結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/21 06:28 UTC 版)
一般にある粒子系で、隣り合う粒子間の相互作用エネルギーが平均して熱運動エネルギーよりも大きい場合を強結合、小さい場合を弱結合という。通常のプラズマは弱結合である。それに対し、ダストプラズマではダスト微粒子の荷電 Q が大きいために、微粒子系に着目すると、それは容易に強結合になる。 粒子系での平均粒子間距離 a {\displaystyle a} は a = ( 3 / 4 π n ) 1 / 3 {\displaystyle a=(3/4\pi n)^{1/3}} (n は粒子密度)で与えられ、しばしばウィグナー・サイツ半径と呼ばれる。ここで荷電 q をもつ粒子の系を考えると、平均距離 a {\displaystyle a} にある2粒子間のクーロン・ポテンシャルエネルギー ϕ = q 2 / 4 π ϵ 0 a {\displaystyle \phi =q^{2}/4\pi \epsilon _{0}a} が問題になる。そして このポテンシャルエネルギーと粒子の熱運動エネルギー kBT との比 Γ = q 2 4 π ϵ 0 a k B T {\displaystyle \Gamma ={\frac {q^{2}}{4\pi \epsilon _{0}ak_{B}T}}} はクーロン結合パラメタと呼ばれ、熱運動と比べて粒子間相互作用がどれだけ強いかを表す。Γ ≪1 ならば弱結合で、粒子はばらばらに熱運動する。一方 、Γ ≥ {\displaystyle \geq } 1 ならば強結合で、粒子間相互作用が勝るので、粒子系は秩序だった行動をとりやすい。通常のプラズマの電子やイオンの系は弱結合である。 一方、ダスト微粒子は非常に大きな電荷 Q を持つので、微粒子の平均距離 a d {\displaystyle a_{d}} にある微粒子間のクーロンポテンシャル ϕ d = Q 2 / 4 π ϵ 0 a d {\displaystyle \phi _{d}=Q^{2}/4\pi \epsilon _{0}a_{d}} も非常に大きくなり得る。ただし今は a d ≪ λ D {\displaystyle a_{d}\ll \lambda _{D}} (λD は周囲のプラズマのデバイの長さ)が必ずしも保証されないので、周りのプラズマにより電場が遮蔽され(デバイ遮蔽)、ポテンシャルが小さくなる影響も考えに入れる必要がある。そこでダストプラズマ中の微粒子系では上記の Γ の役割を Γ d ∗ = Q 2 4 π ϵ 0 a d k B T d exp ( − a d / λ D ) {\displaystyle \Gamma _{d}^{*}={\frac {Q^{2}}{4\pi \epsilon _{0}a_{d}k_{B}T_{d}}}\exp {(-a_{d}/\lambda _{D})}} が受け持つ。ただし、Td は微粒子系の温度である。かくして、ダスト微粒子系は Γd* ≪ 1 ならば弱結合、 ≥ {\displaystyle \geq } 1 ならば強結合になる。宇宙でみつかるダストプラズマはごく一部がΓd*~ 1 で強結合とみなせる他は、ほとんどすべて Γd*≪1 で、弱結合である。
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