弊害要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 07:50 UTC 版)
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の記事における「弊害要件」の解説
独禁法における主要な違反要件においては、単に行為要件(例:不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと)を満たすのみでは足らず、「競争を実質的に制限する」(競争の実質的制限)や「公正な競争を阻害するおそれ」(公正競争阻害性)を満たさなければならない。このうち後者を弊害要件という。 そして、弊害要件が満たされるためには、 行為それ自体が競争手段として不正である(不正手段) 行為そのものが直ちに不正となるわけでないが、何らかの悪影響をもたらしている、あるいは、そのおそれがある(反競争性) のいずれかが必要とされている。 条文上は、私的独占や不当な取引制限においては競争の実質的制限が、不公正な取引方法においては公正競争阻害性が、規定されており、後者のほうがより緩い要件とされている。 市場 条文上の「一定の取引分野」とほぼ同じとされているが、個別の事情に応じて弊害要件を検討する際の前提として一般には需要者の視点からみた選択肢の幅からいわゆる「検討対象市場」を画定するものとされている。 反競争性 競争停止・他者排除・優越的地位濫用の3つに分けられるとされている。主な論点として、他者排除事案に対し、他者排除重視説(他者排除があれば、競争に影響をおよばさなくても反競争性を認める説)と、原則論貫徹説(競争に影響を及ぼさない限り、たとえ他者排除があっても反競争性を認めない説)が対立している。 不正手段 行為そのものが不正とみなされる行為をさす。 正当化理由 反競争性がもたらされたり不正手段がなされても、そのような行為を正当化する理由があれば独禁法違反となるわけでない。このような正当化するような場合を認めるかどうか否かに関して争いがあるが,最高裁石油カルテル刑事事件(昭和59年判決)も限定的ながら認める余地があることを示唆しているとされている。
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