平面部分環の族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/19 15:03 UTC 版)
M(2, R) 内で、スカラー行列(つまり単位行列 I の任意の実数倍)の全体は実数直線と見なすことができる。この実数直線は、以下に述べる可換部分環 Pm の全てが共有する: m2 ∈ {−I, 0, I} なる 2×2 実行列 m に対して、「平面」Pm = {xI + ym | x, y ∈ R} と置けば、Pm は M(2, R) の可換部分環で M(2, R) = ∪m: m2 ∈ {−I, 0, I} Pm を満たす。ただし、和は m2 ∈ {−I, 0, I} なる m すべてにわたってとる。 そのような m を同定するために、I でも 0 でもない一般の 2×2 実行列 [abcd ] を平方すれば [ a a + b c a b + b d a c + c d b c + d d ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}aa+bc&ab+bd\\ac+cd&bc+dd\end{bmatrix}}} である。a + d = 0 ならばこれは対角行列となるから、上記の可換部分環を成す m を求めるに際して d = −a を仮定することができる。 mm = −I となるとき、bc = −1 − aa であり、この方程式は助変数 (a, b, c の空間上の双曲放物面を記述するものである。またこのような m は虚数単位の役割を果たすから、この場合の Pm は通常の複素数体に同型である。 mm = +I となるとき、m は対合行列(英語版)であるという。このとき bc = +1 − aa であり、これもまた双曲放物面を与える方程式である。任意の冪等行列は、この種の適当な m に対する Pm に属す。またこの場合の Pm は分解型複素数環に環同型である。 mm = 0 すなわち複零となるとき、これは b, c の何れか一方のみが零かつ他方が非零である場合に生じる。この場合の可換部分環 Pm は二重数平面のコピーを含む。 M(2, R) に適当な基底変換を施せば、この平面部分環族は、I と −I が双曲面のように対称な形をとる分解型四元数(英語版)の平面部分環族に書きなおすことができる。
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