平安大將棋とは? わかりやすく解説

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平安大将棋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/07 05:34 UTC 版)

平安大将棋(へいあんだいしょうぎ)は、日本の将棋類の一つであり、二人で行なうボードゲーム(盤上遊戯)の一種である。

1120年頃の書とされる習俗辞典『二中歴』に平安将棋とともに掲載されている将棋である。この中では単なる「大将棋」という名前であるが、後の15×15マスの大将棋と区別してこう呼ばれる。

二中歴の記述

『二中歴』の「第十三 博棊歴」には、以下のような大将棋の記述がある[1]

又大将棊十三間云 玉将各住一方中 金将在脇 銀将在金之次 次有銀将 次有銅将 次有鐵将 次有香車 銅将不行四隅 鐵将不行後三方 又横行在王之頂方 行前一歩左右不云多少 又有猛虎在銀之頂 行四角一歩 飛龍在桂馬之上 行四隅超越 奔車在香車之頂 行前後不云多少 注人在中心歩兵之頂 行前後如是 一方如此行方准之

読み下すと以下のようになる。銀将の記述が重複しており、桂馬の記述が抜けている。「玉将各住一方中」から双玉であったと読み取れる一方で、「玉将」と「王」が混在していることから、玉将と王将の区別があったとも取れる[2]

また、大将棋十三間にいわく、玉将はおのおの一方の中に住(じゅう)し、金将は脇にあり、銀将は金の次にあり。次に銀将あり、次に銅将あり、次に鉄将あり。次に香車あり、銅将は四隅に行かず、鉄将は後ろ三方に行かず。また、横行は王の頂方にあり。前一歩に行き、左右は多少をいわず。また、猛虎あり、銀の頂にあり、四角一歩に行く。飛龍は桂馬の上にあり、四隅に行き超越す。奔車は香車の頂にあり、前後に行くこと多少をいわず。注人は中心歩兵の頂にあり、前後に行くこと是のごとし。一方此のごとく行方是に準ぜよ。

ルール

基本ルール

  • 縦横13マスずつに区切られた将棋盤の上で行う。
  • 駒は、平安将棋の6種類に銅将鉄将横行猛虎飛龍奔車注人を加えた13種類あり、それぞれ動きが決まっている。なお中将棋や大将棋の駒と同じ名前のものもあるが、全て動きが異なる。
  • 平安将棋の記述に準じ、敵陣3段目に入れば玉将・金将以外のどの駒も金将に成れる[3]
  • 本将棋とは違い、取った駒を自らの持ち駒にはできない。
  • 本将棋と同様に敵の玉将を詰ますと勝ちとなるが、敵を玉将だけにしても勝ちである。

初期配置図

通説

現在一般的な説での初期配置図である。

▽香車 ▽桂馬 ▽鐵将 ▽銅将 ▽銀将 ▽金将 ▽玉将 ▽金将 ▽銀将 ▽銅将 ▽鐵将 ▽桂馬 ▽香車
▽奔車 ▽飛龍     ▽猛虎   ▽横行   ▽猛虎     ▽飛龍 ▽奔車
▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵 ▽歩兵
            ▽注人            
                         
                         
                         
                         
                         
            注人            
歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵 ▲ 歩兵
奔車 飛龍     猛虎   横行   ▲ 猛虎     ▲ 飛龍 ▲ 奔車
香車 桂馬 鐵将 銅将 銀将 金将 玉将 ▲ 金将 ▲ 銀将 ▲ 銅将 ▲ 鐵将 ▲ 桂馬 ▲ 香車

駒の動き

平安将棋と共通している玉将金将銀将桂馬香車歩兵は省略。

  • ○はその位置に動ける。
元の駒 動き 成駒 動き
銅将(どうしょう)
四隅に行けない。 金将(きんしょう)
斜め下二方に行けない。
鐵将(てつしょう)
後ろ三方に行けない。
横行(おうぎょう)
縦には前一歩、左右にはいくらでも行ける。
猛虎(もうこ)
四隅に一歩行ける。
飛龍(ひりゅう)
四隅に飛んで行ける。
奔車(ほんしゃ)
前後にいくらでも行ける。
注人(ちゅうにん)
前後に一歩ずつ行ける。

飛龍の動きについては、通説では上の表のように現代将棋の角行と同じ動きであるが、「斜めに1マス飛んで2マス目に進む」という説も最近提唱されている[要出典]

脚注

  1. ^ 二中歴.
  2. ^ 水野 1998, pp. 168, 170.
  3. ^ ただし、岩手県平泉町の志羅山遺跡の第88次発掘において、表裏とも「飛龍」と読める駒状の木片が出土している(『天童の将棋駒と全国遺跡出土駒』2003年、天童市将棋資料館。2002年平泉町教育委員会発行の資料を参考にしたとある)。

参考文献

  • 1318-1339、「第十三 博棊歴」、『二中歴』尊経閣善本影印集成、3、 (原著1220-1221) ISBN 4-8406-2316-3 p. 118
  • 水野 和雄、1998、「輸入された娯楽」、大塚初重(編)『芸術・学芸とあそび』12、 〈考古学による日本歴史〉  ISBN 4-639-01497-X pp. 166-178

関連項目


平安大将棋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 15:17 UTC 版)

銅将」の記事における「平安大将棋」の解説

大将棋嗔猪と全く同じ性質の駒で、成ると金将となるのも同じである。 元の駒動き成駒動き銅将どうしょう) ■ ■ ■ ■ ■ ○ ○ 銅将 ○ ○ ■ ■ ■ ■ ■ 四隅行けない金将きんしょう) ■ ■ ■ ■ ■ ○ ○ ○ ○ 金将 ○ ○ ■ ■ ■ ■ ■ 縦横斜め前に1マス動ける。

※この「平安大将棋」の解説は、「銅将」の解説の一部です。
「平安大将棋」を含む「銅将」の記事については、「銅将」の概要を参照ください。

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