常用ポンドの経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 13:52 UTC 版)
「ポンド (質量)」の記事における「常用ポンドの経緯」の解説
イギリスでは、1878年の度量衡法(英語版)によってポンドが正式に定義されたが、その後、1883年には計測がされ直され、0.453 592 4277 kgが正確な値だとされた。1898年に、この値を丸めた 0.453 592 43 kg ちょうどを正式な1ポンドとした。この定義は帝国ポンドと呼ばれ、1963年に国際ポンドに切り替えるまで使われた。 アメリカでは、1893年4月5日のメンデンホール指令によって、ヤードがメートルを基準として、ポンドがキログラムを基準として定義されることになった。メンデンホール指令それ自体は、1866年の法令による換算値 1ポンド = 1/2.2046 kg としている(ただし注記において、より正確には1ポンド = 1/2.20462 kg とした上で、法令の換算値 1ポンド = 1/2.2046 kg は通常の換算には十分に正確であるし、高精度の計測にはキログラムが使用されるので換算は不要であるとしている)。 1893年の Coast and Geodetic Survey Report(この文書はメンデンホール指令の文書を含んだものである) では、換算値として、 1 ポンド = 1/2.2046 kg 1 ポンド = 1/2.20462 kg 2.204 622 34 ポンド = 1 kg 1 ポンド = 453.592 427 7 グラム の4つの関係式を掲げている。これらはそれぞれ次の換算値を意味することになる。 1ポンド = 約 0.453 597 024 404 kg 1ポンド = 約 0.453 592 909 436 kg 1ポンド = 約 0.453 592 427 989 kg 1ポンド = 0.453 592 427 7 kg しかし、翌年の1894年3月21日の換算表においては、イギリスの1883年の計測結果を受けて1ポンド = 0.453 592 4277 kg となった。その後イギリスでは1898年5月に値を丸めて、公式に 1ポンド = 0.453 592 43 kg と制定したが、米国では丸めなかったために、わずかの違いが生じることとなった。このような経緯を経て1959年には国際ポンド = 0.453 592 37 kgを使うようになった。1894年の定義値と1959年の定義値との違いは、約 1.27 × 10−7 である。 1 常用ポンドは 16 オンス、7000 グレーンに等しい。したがってオンスは、1/16 ポンドであり、正確に 28.349 523 125 g である。前述の通り1959年の国際ポンドの定義値は、7で割り切れるように定義されたので、1 グレーンは正確に 0.064 798 91 g である。この常用ポンドとグレーンとの関係は、1584年に再定義された時から変わっていない。それまでは 1 常用ポンドは 7002 グレーンに相当していた。
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