峡谷壁面の摂理と微地形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 00:06 UTC 版)
「岩屋寺の切開」の記事における「峡谷壁面の摂理と微地形」の解説
切開の峡谷内部を詳細に観察すると、両岸の岩壁には板状になった節理(板状節理)が右岸側に数枚、左岸側にも2枚ほど認められる。切開の峡谷の全体はこの板状節理の方向によって形付けられており、その両岸は並行していて、それぞれが北東方向に約80度傾いている。この節理の傾きがあるため左岸(北東側)の岸壁はオーバーハングしており、特に下半部の一部は節理に沿って抜け落ちているところがあって、ひさしのような形状になっている。 谷底には角礫、倒木、木枝、落葉が散在しており、通常時の流水は伏流していて、表流水は礫の隙間に見え隠れする程度であるが、右岸側の壁面をよく観察すると、何らかの流れによって形成されたと考えられる微地形が確認できる。なお、左岸側の壁面はオーバーハングによる落石のため、元来の節理が残存する壁面はほとんど失われている。 比較的原型を保っている右岸(南西側)の、壁面に平行した板状節理は上部が剥がれており、この節理の板状体の上面は、すべて上流側に傾いている。この割れ方はひびが入るような節理の割れ方(垂直と水平方向)とは異質のもので、一方向に加わった何らかの強い力によって板状体の上部が剥ぎ取られて、抵抗の少ない部分が残ったものと考えられる。このような形状は、水流によって礫が流れの方向に向く覆瓦構造(インブリケーション)の一種とも言える。 また、谷底辺近くの板状体の谷側の角部には丸みを帯びているものがあり、今日でも豪雨などによる小さな崩壊が時々あって、岩片などが崩れ落ちながら壁面に当たって角が取れる作用が起きていると考えられる。
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