ドビュッシー:小さな黒人(ケークウォーク)
小さな黒人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/04 06:01 UTC 版)
『小さな黒人』(CD122、L.114)は、クロード・ドビュッシーが1909年に作曲したピアノのための小品。同年に出版されたピアノ教則本に収められた。また、後年単独でも出版され『The Little Negro』もしくは『Le petit nègre』という名前を与えられた。日本においては『小さなくろんぼ』というタイトルでも知られる。
概要
本作は1909年に[1]、テオドール・ラックから教則本に収めるための楽曲として委嘱を受けて作曲された[2][3]。副題から本作がケークウォークであることが読み取れる[2]。前年に書かれていたピアノのための組曲『子供の領分』の第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」を思わせるところもある[4]。
ドビュッシーは日頃から異国風の効果を模索していた。本作においてはアメリカのミンストレル・ショーからの影響を受け[3]、バンジョーの和音や太鼓の音を仄めかすような部分がある[5]。
初版はラックの教則本の中の1曲として1909年にパリのアルフォンス・ルデュックから出され、その後1934年頃に単独の作品として『The Little Negro』という題に『Le petit nègre』という副題を付し、曲中の反復を追加して出版された[1][2]。
本作の主要主題は1913年に書かれた子どものためのバレエ『おもちゃ箱』に再利用され、イングランド人の兵士を描写する役割を果たしている[4][5]。
楽曲構成
曲は当時流行していたラグタイムのスタイルで、アレグロの指定の下、2/4拍子でシンコペーションを伴う「ジャズ風の」主題を示す[6](譜例1)。第1主題は五音音階へと偏っており、短三度の半音階進行が伴奏を担う[7]。
譜例1
続いてエスプレッシーヴォ、ピアニッシモと指示された抒情的な部分が続き(譜例2)、その後に譜例1が回帰する。
譜例2
譜例2を再び奏してその後に譜例1が再現される流れが再度行われ、最後は元気よく結ばれる。
出典
- ^ a b “The little Nigar”. Centre de documentation Claude Debussy. 2018年8月4日閲覧。
- ^ a b c Heinemann, Ernst-Günter. “Postface”. Henle. 2018年8月4日閲覧。
- ^ a b Scheytt, Jochen (2017年). “Le petit nègre”. jochenscheytt.de. 2018年8月4日閲覧。
- ^ a b Smith, Lindy (2008). “Out of Africa: The Cakewalk in Twentieth-Century / French Concert Music”. Nota Bene: Canadian Undergraduate Journal of Musicology 1 (1): 75–80 2018年8月4日閲覧。.
- ^ a b Andres, Robert (2005年). “An introduction to the solo piano music of Debussy and Ravel”. BBC. 2018年8月4日閲覧。
- ^ “The little Negro”. G. Henle Verlag. 2018年8月4日閲覧。
- ^ Eichmann, Andreas, ed (2014) (ドイツ語). Kurt Weill und Frankreich. Waxmann Verlag. p. 46. ISBN 978-3-83-098077-3
参考文献
- Schmitz, E. Robert (1950). The Piano Works of Claude Debussy, foreword by Virgil Thomson. New York: Duell, Sloan & Pearce.
- 楽譜 Debussy: The Little Nigar, Alphonse Leduc, Paris
外部リンク
- 小さな黒人の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- The little nigar (recordings) muziekweb.nl
- Christine Stevenson: N is for Negre – Debussy’s Le Petit Negre notesfromapianist.wordpress.com 2012
- 小さな黒人 - ピティナ・ピアノ曲事典
- 小さな黒人のページへのリンク
