対称行列に関連する行列の各種分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:08 UTC 版)
「対称行列」の記事における「対称行列に関連する行列の各種分解」の解説
詳細は「行列の分解」を参照 ジョルダン標準形を用いると、任意の実正方行列が二つの実対称行列の積として書けることや任意の複素正方行列が二つの複素対称行列の積に書けることが証明できる。 任意の実正則行列は、直交行列と対称正定値行列の積として一意に分解することができ、極分解(英語版)と呼ばれる。特異行列も同様の分解を持つが一意ではない。 コレスキー分解は任意の実正定値対称行列 A が下半三角行列 L とその転置である上半三角行列との積 A = LLT に書けることを述べる。行列が不定符号でも(ピボット成分(英語版)から生じる)置換行列 P を用いて PAPT = LTLT なる形に分解することができる(ただし、T は対称三重対角行列である)。 任意の複素対称行列 A は対角化可能、さらに言えば固有分解が、ユニタリ行列 Q を用いた簡単な形 A = Q Λ Q ⊤ {\displaystyle A=Q\Lambda Q^{\top }} で成立する。ここで A が実行列ならば Q は(A の固有ベクトルを列ベクトルとする)実直交行列で、Λ は(対角線に A の固有値が並ぶ)実対角行列になる。直交性を見るために、x, y がそれぞれ相異なる固有値 λ1, λ2 に属する固有ベクトルとすれば λ 1 ⟨ x , y ⟩ = ⟨ A x , y ⟩ = ⟨ x , A y ⟩ = λ 2 ⟨ x , y ⟩ {\displaystyle \lambda _{1}\langle x,y\rangle =\langle Ax,y\rangle =\langle x,Ay\rangle =\lambda _{2}\langle x,y\rangle } ゆえ、⟨x, y⟩ ≠ 0 ならば λ1 = λ2 となり矛盾するから ⟨x, y⟩ = 0 である。
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