対称テンソルの分解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/21 03:55 UTC 版)
対称行列論と対応するものとして、二次の実対称テンソルを「対角化」することができる。より明確に書けば、任意のテンソル T ∈ Sym2(V) に対し、適当な整数 r と非零単位ベクトル v1, …, vr ∈ V および重み λ1, …, λr が存在して T = ∑ i = 1 r λ i v i ⊗ v i {\displaystyle T=\sum _{i=1}^{r}\lambda _{i}\,v_{i}\otimes v_{i}} とできる。このような分解ができる最小の正整数 r を、対称テンソル T の対称階数あるいは単に階数と呼ぶ。この最小分解に現れるベクトルを総称して、このテンソルの 主軸(英語版)と呼び、一般には物理学的に重要な意味を持つ。例えば慣性テンソルの主軸は、慣性モーメントを表すポワンソーの楕円体を定義する。シルヴェスターの慣性法則も参照。 任意 k-次の対称テンソルに対して、分解 T = ∑ i = 1 r λ i v i ⊗ k {\displaystyle T=\sum _{i=1}^{r}\lambda _{i}\,v_{i}^{\otimes k}} を考えることもできる。このような分解が可能な最小の数 r は T の対称階数に等しい。この最小分解はワーリング分解 (Waring decomposition) と呼ばれる(これはテンソル階数分解(英語版)の対称形である)。二次テンソルに関しては、これはテンソルを任意の基底に関して表現する行列の階数に対応し、その最大階数が台となるベクトル空間の次元に等しいことはよく知られている。しかしより高次の場合にはこれは満足されない(階数は台となるベクトル空間の次元よりも大きくなりうる)。
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