審議過程と影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 03:28 UTC 版)
「臨時仮名遣調査委員会」の記事における「審議過程と影響」の解説
臨時仮名遣調査委員会はさきの国語調査委員会とはことなり表音派の大槻文彦、歴史的仮名遣いを推す森鷗外ら双方の主張者が委員となり、議論をたたかわせた。委員会は6月5日から金曜日ごとに5回にわたって開催され、第2回には大槻文彦の表音式擁護意見、続いて第3回では同じく表音派の芳賀矢一が意見を述べ、第4回には森鴎外が歴史的仮名遣い擁護の演説をおこなった。第5回をおわったところで委員会は休会にはいる。なおこの委員会の議論を実質的に整理し、すすめていったのは主事の渡部董之介である。 諮問からわずか4ヶ月後の1908年9月、牧野のあとをうけて7月に就任した小松原英太郎文部大臣より、さきに採用された国語調査委員会諮問案(表音式案)撤回の方針がうちだされた。こうして文部省は一転して表音式仮名遣いを廃し歴史的仮名遣いにかたむき、小学校の国語読本をはじめとする国定教科書では、歴史的仮名遣いが採用されることになる。臨時仮名遣調査委員会の役割は終わり、1908年12月正式に解散となった。 このように、臨時仮名遣調査委員会の活動は短いものであったが、鴎外の『仮名遣意見』(外部リンク参照のこと)や大槻、芳賀らの研究とその応用についての意見など、近代の日本語研究にとって大きな成果がのこされた。 この委員会の議事録は国立国会図書館の『臨時仮名遣調査委員会議事速記録』(外部リンク参照のこと)によって読む事ができる。
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