学術論文の参照・引用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/15 19:08 UTC 版)
「参照 (書誌学)」の記事における「学術論文の参照・引用」の解説
アカデミズムでは、自分の論文が斯界の権威ある学術雑誌で引用(参照)されていればされているほどその研究者(引用元の論文の著者)が価値のある存在として扱われるという風習がある。自然科学や経済学ではそれが論文の「被引用回数」という形で定量的にシステム化されており、人文・社会科学系でもそこまで露骨でなくとも自分の論文が引用されることを評価する価値観は存在する。そのため、「その論文に関連する先行論文を(実際にはそれほど参考にしていないのに)形式的に参照しておく」あるいは「その論文に関する先行論文の存在は知っているが、それを明示的に参照するだけの価値が見出せないためあえて無視する」といったことが行われることがあり、社会学者の北田暁大はこれらをそれぞれ「儀式的関心」「顕示的無関心」と呼んでいる。これらは社会学者のアーヴィング・ゴッフマンが提唱した儀礼的無関心を意識した語で、北田によれば、建前上は引用とは「自分が示唆を受けた論文を参照する」という「儀礼的・紳士的関心」に基づくことになっているが、実情としてはその中に「儀礼的・紳士的関心」と「儀式的関心」の2つが混在した状態になっているのだという。 論文の「被引用回数」のシステムは、論文に記載されている「内容」ではなく、それをどれだけの他の論文が参照しているかという「形式」的な事実に基づいて評価を行うことになるが、検索エンジンGoogleのシステムである「ページランク」(より多くのWebサイトからハイパーリンクされているほど高く評価する)はこれと類似した発想であるといえる。
※この「学術論文の参照・引用」の解説は、「参照 (書誌学)」の解説の一部です。
「学術論文の参照・引用」を含む「参照 (書誌学)」の記事については、「参照 (書誌学)」の概要を参照ください。
- 学術論文の参照引用のページへのリンク