女道楽の達人の教え
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「女道楽の達人の教え」の解説
昔、カイロにマハムードという独身の若い男がいた、彼には2歳年上のアフマドという妻子のある友人がいた。あるとき、マハムードがアフマドに女と付き合う方法を聞いた。アフマドは、「明日のムレド・エル・ナビーのお祭りで、小さな子供連れの若い母親を見つけ、母親には話さず、子供に話しかけたり、あやしたりすれば良い。」と答えた。マハムードは言われたように子供をあやし、子供を肩に乗せ女の家まで送り、夜を明かした。しかし、その女は偶然にもアフマドの妻であったが、マハムードはアフマドの家も妻の顔も知らなかったので、そうとは気付いていなかった。 ある日、アフマドが隣の家にいると、自分の家にマハムードが入って行くのが見えた。アフマドは驚き、気付かれずに家に帰るため、隣の家の井戸を降り、地下を通り自分の家の井戸まで行き、這い上がろうとしたが、丁度自分の家の召使の女が井戸を覗き込み、井戸の底にアフマドの影を見つけて鬼神(イフリート)だと思って大声を出し、桶を落としたので、桶がアフマドの頭に当たり、怪我をしてしまった。アフマドは大声で助けを求めたので引き上げられたが、その間にマハムードは帰ってしまった。 何日かして、アフマドが家の外にいると、マハムードがアフマドの家に入るのが見えたので、アフマドは戸を叩き、妻が戸を開くと、妻の手を引いて寝室に入って行ったがマハムードは見つからなかった。実はマハムードは戸の裏側にいて、アフマドが寝室に行く間に逃げていたのであった。 また何日かして、アフマドの妻の父が年を取ってから儲けた子供の割礼のお祝いがあり、アフマドはマハムードを連れて出席した。お祝いの余興で、面白い話をすることになり、アフマドはマハムードにムレド・エル・ナビーのお祭りの夜の話をするように促した。マハムードが話を始めると、女の描写からアフマドの妻のことだと出席者全員が感じ、険悪な雰囲気になったが、子供の叫ぶような声がすると、マハムードは話の筋を変え、子供を肩に乗せ家まで行ったが戸口で追い返されたという話にした。その場の険悪な雰囲気は消えた。後で、アフマドがマハムードに、なぜ話の筋を変えたかを聞くと、マハムードは、子供の叫び声からその子がいることが分かり、当然母もいるから話の筋を変えたと答えた。アフマドは落胆し、妻を離縁しメッカに巡礼の旅に出た。マハムードは、法定の期間の後、アフマドの元妻と結婚し幸せに暮らした。
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