天ぷらまんじゅうとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 天ぷらまんじゅうの意味・解説 

天ぷらまんじゅう

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 08:16 UTC 版)

福島県会津若松市の天ぷらまんじゅう

天ぷらまんじゅう(てんぷらまんじゅう)は、饅頭を付け、油で揚げて天ぷらにした菓子[1]

天ぷらのサクッとした食感、饅頭の皮のしっとりとした食感、あんこの甘さが同時に味わえる[2]

概要

日本全国に郷土料理として点在している[1]長野県[1][3]福島県会津地方[1][3]岐阜県飛騨地方[3]東京都の一部[3]滋賀県[1]島根県大田市[1]で親しまれている。

ふた口ほどの小さめの饅頭が使用され、饅頭の中はこしあんが定番となっている[3]。祭事や来客の際の定番とも言える家庭料理である[3]

仏前に供えていた饅頭を安全に食べるために油で揚げたのがはじまりともいわれている[3]

点在する理由の推測

天ぷらまんじゅうが日本各地に点在している理由の鍵となるのが、石見国吉永藩(現・島根県大田市)である[1]

天ぷらまんじゅうの発祥は長野県とされ、1643年保科正之高遠藩(長野県)から会津藩に移る際に、福島県会津地方へと伝わった[1]

加藤明友1634年に石見(大田市)に吉永藩を立藩した後、旧領である会津藩から職人を吉永藩に呼び寄せが、この際に天ぷらまんじゅうも石見に伝わったと推測される[1]。吉永藩は39年しか続かず、1682年近江国水口藩(現・滋賀県)に移り、この際に滋賀県に伝わったと考えらる[1]

ただし、これらは文献などで確認できる内容ではなく、歴史的な事柄からの推測である[1]

揚げ饅頭との違い

類似した菓子に揚げ饅頭があるが、こちらは売れ残って硬くなってしまった饅頭を揚げて食べたのがはじまりと言われており、揚げ饅頭は衣をつけずに揚げて作るのが最大の違いである[3]

天ぷらまんじゅうには、天ぷら衣に由来するサクっとした食感がある[3]

福島県会津地方

福島県会津地方では、天ぷらまんじゅうは、そのままおやつとして食されるのはむろんのこと、一般的な天ぷらと同様に天つゆや醤油につけて、おかずやおつまみとしても食されている[3]。一般的な天ぷら同様にあたたかい蕎麦に乗せたり、ラーメンのトッピングとしても食されている[3]

強清水元祖 清水屋 こわしみずがんそ しみずや会津若松市)が天ぷらまんじゅうを考案した元祖とされる[4]

岐阜県飛騨地方

天ぷらまんじゅうは、岐阜県飛騨市神岡町の名物とされる[5][6]

こしあんが入った紅白まんじゅうに天ぷら粉をつけて揚げる[5][6]

家庭で揚げる天ぷらまんじゅう専用の饅頭も市販されている[6]

長野県

長野県飯田市下伊那郡では、お盆彼岸には大皿でナスカボチャなどの天ぷらが食卓に並ぶ[7]。この時に欠かせない天ぷらが、天ぷらまんじゅうである[7]。同じ長野県内であっても諏訪地方茅野市周辺では食されていない[2]

時期が近づくと、天ぷらまんじゅう専用の饅頭の販売が菓子店などで行われたり、スーパーマーケっとの総菜コーナーで天ぷらまんじゅうが販売されるほど、親しまれている料理である[7][8]

近年は、土産物として通年で販売されている[2]

島根県大田市

島根県大田市の天ぷらまんじゅうは、紅白のまんじゅうを底面で合わせ、天ぷら粉を付けて揚げた菓子である[1]

大田市では、箱寿司と共に地域の祝いごとや祭りの際のもてなしに欠かせないご馳走であった[1]。甘い食品が多く普及したことと、核家族化のため、もてなしの機会そのものが減ったこともあって、作られる機会は減ってきている[1]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 島根県(大田市)天ぷらまんじゅう”. 発見!ご当地「油」紀行. 日清オイリオ. 2025年6月1日閲覧。
  2. ^ a b c 桜井友里「天ぷらまんじゅう」『日本全国 変わり種食紀行』彩図社、2010年。ISBN 978-4883927203 
  3. ^ a b c d e f g h i j k mau_naka (2024年5月7日). “福島県のご当地グルメ「天ぷらまんじゅう」の魅力に迫る!”. macaro-ni. 2025年6月1日閲覧。
  4. ^ 『るるぶ会津磐梯福島'20』JTBパブリッシング、2019年、45頁。 ISBN 978-4533133114 
  5. ^ a b 飛騨神岡名物の天ぷらまんじゅうに感激!「超おいしい!」 グラビアアイドル・三田悠貴の岐阜1周の旅”. 歩道・車道バラエティ 道との遭遇. CBCテレビ (2025年1月11日). 2025年6月1日閲覧。
  6. ^ a b c 佐藤英典 (2023年10月20日). “飛騨神岡名物「天ぷら饅頭」の味の変化に驚いた! 揚げる前と後の美味しさは、界王拳1倍と20倍くらい違う!!”. ロケットニュース24. 2025年6月1日閲覧。
  7. ^ a b c JAみなみ信州女性部. “長野県「天ぷらまんじゅう」”. JAグループ. 2025年6月1日閲覧。
  8. ^ <食卓ものがたり>カリふわ 心満たす郷土食 天ぷらまんじゅう(長野県飯田市)」『東京新聞』2024年9月7日。2025年6月1日閲覧。



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  天ぷらまんじゅうのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「天ぷらまんじゅう」の関連用語

天ぷらまんじゅうのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



天ぷらまんじゅうのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの天ぷらまんじゅう (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS