塩類集積とは? わかりやすく解説

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えんるい‐しゅうせき〔‐シフセキ〕【塩類集積】

読み方:えんるいしゅうせき

過剰な灌漑(かんがい)などによって耕地土壌表面多量塩類集積する現象塩害による収量低下招き砂漠化原因となる。カザフスタン中国北東部などの乾燥地で見られる塩類化


塩類集積

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 14:25 UTC 版)

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塩類集積が生じ白くなった農地の空撮(アメリカ カリフォルニア州)
塩類集積が生じた農地の土を掬う農民(アメリカ アリゾナ州)

塩類集積(えんるいしゅうせき)とは、耕作地の土壌表層に類が集積すること。土壌の塩類集積が進み、濃度障害により収穫量が低下、もしくは収穫できなくなる現象を塩害という。主に干拓地や乾燥地における開拓による、灌漑(かんがい)や水利用の変化が原因となる。深刻化した場合、地表面の所々に白い塩類の結晶が視認できるようになり、やがて植生に乏しい土漠となる。

分布

カザフスタン中華人民共和国北東部、タイの一部など過剰な開拓や灌漑が行われたところに見られる。古くはメソポタミア文明などでも発生し、それが文明を衰退に導いたと言われている。

雨水の流入の少ない施設栽培においても発生することがある。

メカニズム

塩類集積が発生しやすい地域の特徴は、降水量が少ない平坦地で土壌が泥質土であることが多い[1]。塩分が十分な水で流される土地では、塩類集積は起こりにくい[2]。塩類集積は工学的、自然科学的、営農的、組織的な要因から引き起こされ、かつ地域性も関わることから、発生の機構は複雑である[1]

一般的なものは灌漑用水に微量に含まれる塩分の蓄積や、毛細管現象による地層中の塩類の上昇によるものである。乾燥地では、用水路などを作って近くの川や湖から水を引いたり、地下水をくみ上げたりして畑に水を撒く[2]。川や湖、地下水には様々な種類の塩類が溶けており、水が蒸発すると水中に溶けていた塩類が地表に残る[2]。これを繰り返すと、地面には大量の塩がたまり、大きな塩害を引き起こす[2]

世界の灌漑農地の約24%において、塩類集積を原因とする収量低下が起きたという報告もある[1]

対策・予防

対策としては、畑の水やりの仕方を工夫したり、土から塩を取り除いたり、塩に強い植物を植えたりする必要がある[2]。工学的には排水が最も効果的な改良手法とされる[1]

ほかに、対策の選択肢には、湛水による塩類除去、深耕、客土による塩類濃度の希釈、吸肥力の強い浄化作物(cleaning crop)の栽培、圃場外への持ち出しなどがある[要出典]

施肥診断や栄養診断によって必要以上の施肥をしないこと[要出典]。全面全層施肥でなく局所施肥(深層施肥、溝施肥、側条施肥など)で肥料の利用率を高め、環境への影響(負荷)を小さくする[要出典]。塩濃度の低い灌漑水を利用する、可能蒸発量に見合った量の灌漑強度を設定する[要出典]

出典

  1. ^ a b c d 塩類集積(EICネット環境用語集)
  2. ^ a b c d e 砂漠化の原因- きみもなろう!砂漠博士 -”. www.alrc.tottori-u.ac.jp. 鳥取大学乾燥地研究センター. 2021年12月23日閲覧。

関連項目



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