塗りつぶされた猫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/04 07:14 UTC 版)
バーゼル版のものに見られる画面左下の猫は、ひろしま版のものでは一見して欠けている。これについて、1900年に競売にかけられた際に撮影された写真には猫が確認できること、該当部分が周囲と色合いがやや異なることなどから、1901年4月頃に画家のエミール・シェフネッケルによって補修のため塗りつぶされたと考えられている(彼は他のゴッホ作品にも加筆した疑いが持たれている)。この説をとる者に圀府寺司(現大阪大学文学部教授)がいる。吉備国際大学が行ったエックス線を使った調査でも、該当部分の絵の具の材質が異なること、塗りつぶされた下に猫が描かれていたことが確認されている。 小林英樹(現愛知県立大学美術学部教授)は1999年の著書『ゴッホの遺言』で、後の作品のほうに猫がないことにゴッホのメッセージが込められているという説を述べている。『ゴッホの遺言』は第53回日本推理作家協会賞「評論その他の部門」(2000年)を受賞しているが、上記の通り根拠があるわけではない。小林は2009年の文庫化に際して該当部分を書き改め、『完全版 ゴッホの遺言』として刊行している。
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