問題点の所在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 08:00 UTC 版)
2004年(平成16年)1月1日に施行された、著作権法の一部を改正する法律(平成15年(2003年)法律第85号、以下「改正法」という)により改正される前の著作権法54条1項(以下「旧法」という)は、映画の著作物の著作権は、公表後50年を経過するまで存続するものと定めていた。 しかし、改正法により改正された著作権法54条1項(以下「新法」という)では、映画の著作物の著作権は公表後70年を経過するまで存続する。そして、改正法附則2条は、経過規定として「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については、なお従前の例による」として、改正法の施行日である2004年(平成16年)1月1日の時点で、既に著作権が消滅している映画の著作物については、新法による保護期間の適用がないものと定めている。 なお、著作権法では著作権の保護期間の計算方法について、「期間の終期を計算するときは、……著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する」として、暦年主義を採用している(著作権法57条)。 このような法改正の経過を前提にした場合、1953年(昭和28年)に公表された、団体名義の独創性を有する映画の著作物の著作権は、日本国内において、いつ著作権が消滅することになるのか。 暦年主義により、保護期間は1954年(昭和29年)1月1日から起算するため(著作権法57条)、1953年(昭和28年)に公表された映画の著作物の著作権は、旧法によれば2003年(平成15年)12月31日をもって消滅する。では、このような著作物は、改正法附則2条にいう「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物」に該当するのか否か。該当するとすれば、1953年(昭和28年)に公表された映画の著作物の著作権は2003年(平成15年)12月31日(公表後50年)をもって消滅したことになる。逆に、該当しないとすれば、著作権は2023年(令和5年)12月31日(公表後70年)まで存続することになる。この見解の対立が『1953年問題』と俗称されるものである。
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