同位体ピーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 05:36 UTC 版)
元素によっては複数の同位体を持っている。したがって、単一試料であっても、ピークは単一とならず、特有の分布をもつ。 例として塩素分子 (Cl2) で説明する。塩素原子には安定同位体として塩素35(35Cl、存在率76%)と塩素37(37Cl、存在率24%)がある。したがって、質量が異なる3種類の塩素分子、35Cl2(ノミナル質量70 Da)、35Cl37Cl(ノミナル質量72 Da)、37Cl2(ノミナル質量74 Da)が存在する。これらの分子は質量分析計で容易に分離できるため、塩素分子を測定した場合、マススペクトル上では、それぞれの質量ピークが 100:64:10 の強度比をもった分布として現れる。 このような同位体ピークに由来する分布は、分子の構成原子数が多くなるほど複雑になる。しかし、この同位体分布は試料の分子構造に固有であり、また現在ではChemDraw などのソフトウェアを用いれば、容易に同位体分布を求めることができる(測定装置を作動させるためのソフトウェアに付属していることも多い)。したがって、試料の同定において非常に有効な情報となる。
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