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吉田裕 (歴史学者)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/09 01:59 UTC 版)

吉田 裕
人物情報
生誕 (1954-11-02) 1954年11月2日(70歳)
日本埼玉県
出身校 東京教育大学一橋大学
学問
研究分野 歴史学(近現代史、軍事史)
研究機関 一橋大学(平和と和解の研究センター)、東京大空襲・戦災資料センター
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吉田 裕(よしだ ゆたか、1954年11月2日 - )は、日本歴史学者[1]一橋大学名誉教授東京大空襲・戦災資料センター館長、同時代史学会代表。専攻は日本近代軍事史、日本近現代政治史[1]

経歴

1954年、埼玉県豊岡町(現入間市)生まれ[2]。米軍ジョンソン基地・航空自衛隊入間基地の航空機の爆音を聞いて育つ[3]。1973年 埼玉県立川越高等学校を卒業[4]東京教育大学文学部に進み、大学では大江志乃夫に師事した[5]。1977年に東京教育大学文学部を卒業し[6]一橋大学大学院社会学研究科に進んだ。大学院では藤原彰に師事した[7]。1979年、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了[6]。1983年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学[6]

1983年に一橋大学社会学部助手に着任[6]。1985年に専任講師[6]、1987年に助教授[6]、1996年に教授に昇進した[6]。 2000年より一橋大学大学院社会学研究科教授[6]。2008年、平和と和解の研究センター共同代表[8][9]となった。2018年に一橋大学を定年退職し、一橋大学名誉教授となった[10]、一橋大学大学院社会学研究科特任教授[6]。2019年、東京大空襲・戦災資料センターの館長に就任した[11]。指導学生に平井和子[12]、中村江里[13]瀬畑源、宇田川幸大、加藤祐介など[14]

主張

日中戦争中の南京事件の犠牲者数について、秦郁彦の4万人説に対し、便衣兵ゲリラ)・投降捕虜・不法殺害等の定義の問題を別にしても、①第九師団の敗残兵掃討戦に関しては殲滅数7千人を不法殺害に計上しながら他師団の掃討戦の殲滅数は計上した形跡がない、②スマイス調査による一般市民の推定死者数をより少ない推定である2.3万人に下方修正する根拠が示されていない、③下方修正した一般市民の推定死者数2.3万人にさらに1/2~1/3の割引率を書ける意味が不明であることを指摘している。とくに③の割引率は2.3万人全てが不法殺害ではなく、砲撃・銃撃に巻き込まれた市民も含まれているということであろうが、そもそもスマイス調査はそのような軍事行動による死者数と兵士の暴行による死者数を分けて推計値を出しているため、暴行による死者数を取るべきで、割引率をかける意味がないと主張している[15]

受賞・栄典

研究内容・業績、活動について

著作

単著

  • 徴兵制』(学習の友社・学習文庫、1981年)
  • 『天皇の軍隊と南京事件――もうひとつの日中戦争史』(青木書店、1986年)
  • 昭和天皇の終戦史』(岩波新書、1992年)
  • 『日本人の戦争観――戦後史のなかの変容』(岩波書店、1995年/岩波現代文庫、2005年)
  • 『現代歴史学と戦争責任』(青木書店、1997年)
  • 『日本の軍隊―兵士たちの近代史』(岩波新書、2002年)
  • 『シリーズ日本近現代史(6)アジア・太平洋戦争』(岩波新書、2007年)
  • 『兵士たちの戦後史』(岩波書店、2011年/岩波現代文庫、2020年)
  • 『現代歴史学と軍事史研究―その新たな可能性』(校倉書房、2012年) 
  • 『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』中公新書、2017年
  • 『日本人の歴史認識と東京裁判』岩波ブックレット、2019年
  • 『続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実』中公新書、2025年 

共著

編著

  • 『日本の時代史(26)戦後改革と逆コース』(吉川弘文館、2004年)

共編著

その他

脚注

  1. ^ a b 吉田裕『日本軍兵士――アジア・太平洋戦争の現実』中央公論社〈中公新書〉、2017年12月、奥付頁。ISBN 9784121024657 
  2. ^ 「これまでの本、これからの本 第6回 吉田裕教授」ナレッジワーカー
  3. ^ 若い世代が知らない「戦争の話」なぜ日本は無謀な戦争をしたのか?【吉田裕】「池上彰がいま話を聞きたい30人」テレ東BIZ
  4. ^ 祝 新書大賞 受賞 (2019年) 吉田 裕 氏(高25回)埼玉県立川越高等学校 同窓会 > 事務局だより
  5. ^ 私の学問事始め : 近代日本軍事史研究を中心に 一橋大学創立150年史準備室
  6. ^ a b c d e f g h i 「吉田裕(よしだ・ゆたか) 特任教授研究科教員紹介ページはこちら」一橋大学政治学部門
  7. ^ 「昭和56年 学位授与・単位修得論文一」一橋研究
  8. ^ Archive for July 17th, 2007”. 中野聡. 2018年8月18日閲覧。
  9. ^ 「EMC、一橋大学に世界情報遺産保護プロジェクト賞を授与 」mynavi
  10. ^ 平成29年度 第14回 教育研究評議会議事要録一橋大学
  11. ^ “東京)早乙女館長が退任 東京大空襲・戦災資料センター”. 朝日新聞デジタル. (2019年7月2日). https://www.asahi.com/articles/ASM7161FYM71UTIL02Y.html 
  12. ^ 論文題目:日本占領を問い直す―ジェンダーと地域からの視点―
  13. ^ 忘却に抗う――平成の終わりと戦争の記憶――(吉田裕×中村江里対談):①戦争の記憶KUNILABO 2019年4月15日 23:52
  14. ^ 一橋大学吉田裕ゼミ同窓会(仮)
  15. ^ 吉田裕 著、藤原彰、本多勝一、洞富雄 編『南京事件を考える』大月書店、1987年8月20日、85-86,57,57頁。 
  16. ^ 「第30回アジア・太平洋賞特別賞に金恩貞氏ら」毎日新聞2018年10月10日 東京朝刊
  17. ^ 2019新書大賞

外部リンク

先代
早乙女勝元
東京大空襲・戦災資料センター館長
2019年 -
次代
(現職)



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