各種条件の有効性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/30 22:24 UTC 版)
一定の条件が付された場合について、民法は法律行為につき無条件あるいは無効とする(131条~134条)。 既成条件既成条件とは、客観的に法律行為時において既に確定している条件のことをいう。停止条件のときは、条件とする意味が無いので法律行為は無条件となり、解除条件のときは、すでに法律効果が消滅していることになるから法律行為は無効とされる(131条1項)。また、条件が成就しないことが確定している場合、停止条件のときは、条件が永久に成就せず効力が生じることはないので法律行為は無効となり、解除条件のときは、条件が永久に成就せず効力が消滅することはないので法律行為は無条件となる(131条2項)。なお、131条3項は「前二項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第百二十八条及び第百二十九条の規定を準用する」と定めるが、既成条件では有効無効は既に確定済で期待権がない以上、これらの規定の準用余地はなく同項は無意味な規定とされる(通説)。 不法条件不法条件とは、不法な行為を条件とするのは無効とされる(132条)。不法なことをしないことを条件とすることも同様に無効となる。原則的には法律行為全体が無効であるが、例外的に条件部分のみ無効と解すべき場合もある。 不能条件不能条件とは、客観的に成就することがありえない条件のことをいう。条件が成就しないことが確定している場合と同じように、停止条件のときは、条件が永久に成就せず効力が生じることはないので法律行為は無効となり、解除条件のときは、条件が永久に成就せず効力が消滅することはないので法律行為は無条件となる(133条)。 随意条件随意条件とは、単に債務者の意思のみに係る条件をいう。「履行したくなったら履行する」というような場合である。停止条件の場合は、債務者を拘束する内容ではなくなるので、債権として意味が無いので無効とされる(134条)。一方、解除条件の場合は、「期限の定めのない債務」と同様に、条件としての効力が認められる。 なお、講学上、当事者の意思とは全く無関係な事実を内容とする条件は偶成条件、当事者の意思と当事者の意思とは全く無関係な事実とを併せて内容とする条件は混成条件と呼ばれる。 法定条件法定条件とは、法律上要求されている要件がそのまま条件の内容とされている場合をいう。条件に関する規定の類推適用があるものの(最判昭39・10・30民集18巻8号1837頁)、後述の130条の類推適用はない(最判昭36・5・26民集15巻5号1404頁)。
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