可測関数の不定積分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:55 UTC 版)
閉区間上のルベーグ可積分関数 f(x) に対しても、定義域内の定数 a {\displaystyle a} を一つ固定するとき、任意の定数 C {\displaystyle C} を用いて表される F ( x ) := ∫ a x f ( t ) d t + C {\displaystyle F(x):=\int _{a}^{x}f(t)\,dt+C} を f(x) の a {\displaystyle a} を基点とする不定積分と呼ぶことができる。ただし、 a ≤ x {\displaystyle a\leq x} の場合は ∫ a x f ( t ) d t = ∫ [ a , x ] f d μ {\displaystyle \int _{a}^{x}f(t)\,dt=\int _{[a,x]}f\,d\mu } であり、 x ≤ a {\displaystyle x\leq a} の場合は ∫ a x f ( t ) d t := − ∫ [ x , a ] f d μ {\displaystyle \int _{a}^{x}f(t)\,dt:=-\int _{[x,a]}f\,d\mu } である。この様な一般化を考えた場合は、C の値をとめるごとに、x の連続関数(実は絶対連続となる)を与えるが、F(x) は必ずしも微分可能ではない。また、積分の値は測度 0 {\displaystyle 0} の集合上で f(x) の値を取り換えたとしても変化しないから、F(x) が微分可能な点においても、導関数が f(x) に一致するとは限らない。すなわち、この様な一般化を考えた場合には、一般には原始関数と不定積分は異なる概念となる。 あるいはもし、原始関数の概念をもさらに一般化し、例えばほとんどいたる所で微分可能でそこでの微分係数が f(x) に一致する連続関数 G ( x ) {\displaystyle G(x)} を原始関数と呼ぶと、今度は二つの原始関数の差が定数であることが一般には成り立たなくなり、微分積分学の基本公式が成立しないことになる。実際、カントール集合から作られる単調増加関数であるカントール関数は、定数関数でないのに、恒等的に値 0 {\displaystyle 0} をとる定数関数のここでの意味の原始関数となっている。ただしカントール関数は絶対連続ではなく、一般に原始関数にさらに絶対連続性を要求するのであればこの様な例は排除される。
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