受容体の制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 14:34 UTC 版)
CheBタンパクはCheAに活性化されると脱メチル化酵素として働き、受容体の細胞質側にあるグルタミン酸残基を脱メチル化する。一方CheBと拮抗的に働くCheRはメチル基転移酵素で、同じグルタミン酸残基をメチル化する働きがある。受容体のメチル化されるグルタミン酸残基が多くなるほど、受容体の感受性は低下する。受容体からのシグナルがフィードバック回路として受容体の脱メチル化を起こすので、この制御系はつねに環境中の化学物質濃度に対して補正を行って、高濃度下の環境でもわずかな変化に対する感受性を保つことができる。この制御系のおかげで細菌は少しだけ、数秒だけ前の物質の濃度を「記憶し」て現在のそれと比較することができ、濃度勾配に対して遡るか下るかを「判断する」ことができるのである。 このメチル化の機構は、細菌が物質の濃度に対して持つ広範囲の感受性を説明できるが、ある条件下で感受性の絶対値が増加する点は別の機構による説明が必要である。リン酸化型CheY(CheY-P)に対するモーターの超感受性応答と受容体のクラスター化がある。
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