即効性と遅効性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 22:38 UTC 版)
化学兵器は即効性のものと遅効性のものが存在する。 即効性:殺傷目的(例:サリン、VXガス) 遅効性:環境汚染目的(例:マスタードガス) 即効性のものは主に人員を即時に殺傷することを目的としている。一般に殺傷能力の点では優れるが、環境中に放たれてから分解されるまでの時間が短く、加害の持続効果はあまりない。神経ガスの多くが該当する。 遅効性のものは、即効性のものより一般に殺傷能力の点では劣るが、環境中での分解に時間がかかるため、長時間散布地域一帯を汚染する効果がある。場合によってはその汚染事実が被害側には容易に判別できないために、汚染の拡大が期待でき、拡大後に効果が生じることになる。戦場であれば比較的後方の補給路や集積地、又は都市部や農地への無差別的な攻撃によって、補給能力、指揮能力、産業経済、政治、医療負担などの多様な方面から継戦能力を減殺する目的で使用される。ただし、第一次世界大戦におけるマスタードガスのように前線利用がされることもある。 遅効性の影響は、環境因子の影響も含めて不明の点が多く、信頼性のある知見は得られていない。長期的な影響については、精神的な影響も含め、慢性疾患の増加等があげられている。
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