単有理性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 15:30 UTC 版)
体 K 上の単有理多様体(unirational variety) V は、有理多様体により統制されているので、その函数体 K(V) は有限タイプの超越体である(有限タイプとは K は無限でも K(V) 上は有限次数であるように選ぶことが可能な時を言う)。リューロス問題の解は、代数曲線の場合には、有理曲線と単有理的な曲線は同じであり、代数曲面の場合は、カステルヌオボーの定理であり、単有理的な複素曲面は有理曲面を含んでいることを意味する。何故ならば、どちらの場合も算術種数と第二多重種数(second plurigenus)ともゼロとなることにより特徴付けられるからである。ザリスキー(Zariski)は、単有理的であるが有理的ではない例を、標数が p > 0 の場合の例(ザリスキー曲面(英語版)(Zariski surface))を見つけた。Clemens & Griffiths (1972)は、3次の3次元多様体(英語版)(three-fold)が、一般には有理多様体ではなく、有理性を持たない単有理的な例となることを示した。これらの仕事は中間ヤコビ多様体(英語版)(intermediate Jacobian)を使う。Iskovskih & Manin (1971)は、全ての非特異な3次元4次多様体(英語版)(quartic threefold)は有理的ではないことを、それらの例が単有理的であることを使って示した。Artin & Mumford (1972)は、第三コホモロジー群の中に非自明な捩じれ(torsion)をもつ単有理的な例を見つけた。第三コホモロジーの非自明な捩じれをもつことは有理的ではないことを意味する。 任意の体 K に対し、ヤノス・ケラー(英語版)(János Kollár)は2000年に、少なくとも次元が 2 の滑らかな3次超曲面(英語版)(cubic hypersurface)は、K 上に定義された点を持つ場合にあ、単有理的となることを証明した。ケラーのこの結果は、3次曲面(英語版)(cubic surface)から始まる(代数的閉包である体上の有理多様体である)、多くの古典的な結果の改良である。他の単有理的であることが示されている多様体の他の例は、曲線のモジュライ空間の多くの場合である。
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