半導体・絶縁体中の電子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 17:30 UTC 版)
「フェルミエネルギー」の記事における「半導体・絶縁体中の電子」の解説
半導体や絶縁体の場合、フェルミエネルギーが伝導帯と価電子帯の間のバンドギャップの中にあり、エネルギー準位が存在しない。よって金属などでは成り立っていた「フェルミエネルギー = フェルミ粒子が占有している最も高いエネルギー準位」は、半導体・絶縁体では成り立たない。またフェルミエネルギーでのフェルミ分布関数の値1/2に、占有数の期待値という意味は無い。 真性半導体のフェルミエネルギー E i {\displaystyle E_{\mathrm {i} }} は、伝導帯のエネルギー E C {\displaystyle E_{\mathrm {C} }} 、価電子帯のエネルギー E V {\displaystyle E_{\mathrm {V} }} 、有効状態密度 N C {\displaystyle N_{\mathrm {C} }} 、 N V {\displaystyle N_{\mathrm {V} }} を用いて次のように表される。 E i = E C + E V 2 + 1 2 k T ln N V N C {\displaystyle E_{i}={\frac {E_{\mathrm {C} }+E_{\mathrm {V} }}{2}}+{\frac {1}{2}}kT\ln {\frac {N_{\mathrm {V} }}{N_{\mathrm {C} }}}} この第2項目は小さく、バンドギャップのほぼ中央に位置する。 非縮退半導体のフェルミエネルギーEFは、真性キャリア密度 n i {\displaystyle n_{\mathrm {i} }} 、伝導帯の電子密度 n {\displaystyle n} 、価電子帯の正孔密度 p {\displaystyle p} を用いて次のように表せる。 E F = E i + k T ln n n i = E i − k T ln p n i {\displaystyle E_{\mathrm {F} }=E_{\mathrm {i} }+kT\ln {\frac {n}{n_{\mathrm {i} }}}=E_{\mathrm {i} }-kT\ln {\frac {p}{n_{\mathrm {i} }}}} ドープ量が多いほど、フェルミエネルギーの位置はバンド端の近くになる。 絶縁体では、 EF は大きなバンドギャップの中にあり、電荷担体の存在しうる(有限の状態密度を持つ)バンドから遠く離れている。 半導体や半金属においてバンド構造に対する EF の位置は、ドーピングやゲーティングによってかなりの程度コントロールすることができる。これらのコントロールは電極によって固定されている EF を変えるわけではなく、全体のバンド構造を上下している(時にはバンド構造の形も変える)。半導体のフェルミ準位についての詳細は、 などを参照。
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