動物相の変化と尖頭器の消長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 04:45 UTC 版)
「尖頭器」の記事における「動物相の変化と尖頭器の消長」の解説
更新世末から完新世初頭にかけては、日本のみならず北アメリカ大陸・アジア大陸においても尖頭器の発達が著しい。これらの地域ではマンモスやバイソンなど洪積世の寒冷気候を好んだ大形獣を対象とする狩猟具が求められ、投げ槍の槍先として用いられた各種尖頭器の出現をみた。日本においても、当初は大形獣を対象とした狩猟具として生まれたが、洪積世末期に海進によって大陸から切り離され、大形獣の絶滅が早かったという特殊な条件が加わって、イノシシ・ニホンジカなどが主な狩猟対象となった。これらの、嗅覚が鋭く行動の機敏な動物の捕獲には、手持ちの槍よりも投げ槍が狩猟具として適していたものと考えられ、特に有舌尖頭器の急増は、こうした事情を物語っていると推定される。やがて弓矢の発明とともに、タヌキやウサギなどの小動物も狩猟対象となっていった。そして、弓矢と槍の中間的な機能を果たした投げ槍(槍先形尖頭器)は弓矢の普及によって消滅していく。一方で、縄文時代前期以降は採集・漁撈の充実および定住生活のいっそうの進展とともに落とし穴を利用する待ち伏せ狩猟も増加していくのである。
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