動物園側の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 15:54 UTC 版)
1996年にサンフランシスコ動物園に来園した女性が、トラが跳躍して飼育場の壁の上まで前脚が届いたものの滑り落ちていたことを報告していた。女性は動物園の従業員がこのことについて定期的に発生しているものとして退けた上に、動物園側への投書についても返事がなかったと証言した。 当初動物園側ではトラの飼育場と客を隔てる壁の高さを18フィート(約549センチメートル)と発表していたが、実際にはこの壁の高さは12.5フィート(381センチメートル)しかなかったことを後に認めた。動物園・水族館協会(AZA)の基準では、壁には16.5フィート(約503センチメートル)の高さが求められていた。タチアナの前脚を調べたところ爪からコンクリート片が検出され、飼育場を囲む堀から跳躍して塀を登ったことが推定された。 AZAは飼育場の欠陥以外にも、動物園側の職員に対する安全教育と管理に問題があったことを指摘した。事件発生日はクリスマス休暇の直前で職員の多くが早めに退勤し、居残った職員は非常事態対応用のショットガンや園内を移動するための車の鍵の場所を知らされていなかった。動物園のカフェなどに勤務する非常勤職員への緊急事態に対応する安全教育もなされていなかった。 動物園側はトラの飼育場を改装し、壁を高くした上で熱線センサーなどを設置して2008年2月16日にトラを再公開した。さらにポータブル拡声器を設置し、午後5時の閉園時には速やかに退園するように呼びかけることとし、AZAの指摘した問題点の多くについて改善した。ただし、多くの問題点を抱えながらもAZAの定期検査を合格していた点について、検査の基準にも問題が内包されていたことが示唆された。
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