加速度センサとは? わかりやすく解説

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加速度計

(加速度センサ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/16 00:53 UTC 版)

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加速度計(かそくどけい, 英: accelerometer)は、物体の加速度計測する機器である。加速度センサとも呼ばれる。

小型の加速度計(加速度センサ)はMEMS技術を用いて作製される。MEMSの加速度センサの場合、質量が小さいため感度は低下するが劇的な小型化が可能になるため、自動車のエアバッグカーナビゲーションの傾斜計、ゲームのコントローラなどに使われている。精度は測定軸を基準に仕様されるため、軸の方向を筐体の固定面(およびその加工精度)で確定しないと加速度センサが提唱する精度に意味がなくなり、特にプリント基板上に加速度センサが実装されただけの状態では計測用途に適用し難い。

原理

機械的変位測定方式

もっとも一般的な計測原理は、ばねコイルばね板ばね)がつながった錘(マス、質量)の、加速度が加わったときの位置変化を捉えることである。

質量m [kg] の錘に加速度a [m/s2] が加わったとき、錘に働くF [N] は

静電容量型
上下方向の加速度を測定する。
1.アンカー電極 2.固定電極 3.中間電極 4.固定-可動電極間静電容量検出部 5.中間電極-可動電極静電容量検出部 6.梁構造
半導体ピエゾ抵抗型
1. 平面図 2.ダイヤフラム 3.ピエゾ抵抗器 4.側面図 5.X軸またはY軸方向に加速度がかかった場合の側面図 6.錘が横に引かれピエゾ抵抗器に不等分の変化が検出される 7.Z軸方向に加速度がかかった場合の側面図 8.錘が縦に引かれピエゾ抵抗器に等分の変化が検出される
ガス温度分布型
2軸方向に測定できる。
1.平面図 2.側面図 3.ヒーター 4.温度計測抵抗ブリッジ

機械式や光学式の加速度センサでは製造・調整・補修に手間がかかりコストを押し上げ、小型化や知能化にも向かないため、近年の多様な装置に使用される加速度センサには半導体式の採用が多くなっている。いずれもMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 技術を使ったものである[1]

静電容量型
梁構造で支えられた微小な可動部でのわずかな位置変化を静電容量の変化として検出し、電気回路によって増幅・計測する。静電容量を検出する櫛の歯型の構造を荒い箇所と細かな箇所の2種類を作ることで、検出精度を上げている。
ピエゾ抵抗型
シリコン半導体の製造技術によって、表面を円環状に薄く作りダイヤフラムを形成する。中央の錘をこの薄い金属で支えることで加速度による変位を検出しやすくる。ダイヤフラムの位置変化をピエゾ抵抗素子によって検出し、電気回路によって増幅・計測する。ダイヤフラムとピエゾ抵抗素子の取り付け方を工夫することで、3軸方向での加速度検出が可能になっている。
ガス温度分布型
空洞部中央で暖められ、軽くなったガスが加速度によって移動するのを、周囲の温度計測抵抗ブリッジの抵抗変化で検出し、電気回路によって増幅・計測する。即ち、他の方式では空気より重い錘をマスとしているが、本方式では逆に空気より軽いガス部分をマスとして考える。機械的な可動部分がないためMEMS工程の歩留まりが良く、結果として安価に製造可能といわれる。

検出軸数

検出軸数によって1軸・2軸・3軸のセンサがある。

3軸加速度センサ

3軸加速度センサーは、X,Y,Z軸の3方向の加速度を1デバイスで測定できるMEMSセンサの一種である。±数 [g]の範囲が測定可能である。

代表的な3軸加速度センサには以下のものがある。

  • ピエゾ抵抗型3軸加速度センサ
  • 静電容量型3軸加速度センサ
  • 熱検知型3軸加速度センサ

メーカーとしては、以下の会社が製造している。

応用例

厳密な精度が要求される科学実験や地震計といった加速度の計測機器として利用される他に、歩数計や携帯電話の画面の上下方向を決めるのに使用されるなど、このセンサの用途は多岐に亘っている。

関連する計測器

地震計重力計・傾斜計などは加速度計の一種といえるが、用途により、精度や使用帯域、ダイナミックレンジ、安定性などの性能が特徴的である。たとえば、地震計は地震波の周期付近に感度を持たせることで、地震以外の振動(地震の周期より短い)の検出を抑えている。

出典

  1. ^ 西原主計編 『センシング入門』(1版) オーム社、2007年3月20日。ISBN 9784274203787 
  2. ^ 菊池正典 『電子デバイス』(初版) 日本実業出版社、2005年12月20日。ISBN 4534040083 

関連項目

外部リンク


加速度センサ (ACM)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 01:00 UTC 版)

はやぶさ (探査機)」の記事における「加速度センサ (ACM)」の解説

加速度センサは機体直線加速度測定する。3軸方向必要になる理論上直線加速度積算することで宇宙空間内での移動距離判るはずであるが、微小な加速度測定誤差大きくACMだけでは正確な航法・誘導行えない。

※この「加速度センサ (ACM)」の解説は、「はやぶさ (探査機)」の解説の一部です。
「加速度センサ (ACM)」を含む「はやぶさ (探査機)」の記事については、「はやぶさ (探査機)」の概要を参照ください。

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