加法的多項式の環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 05:45 UTC 版)
「ドリンフェルト加群」の記事における「加法的多項式の環」の解説
L {\displaystyle L} を標数 p > 0 {\displaystyle p>0} の体とする。環 L { τ } {\displaystyle L\{\tau \}} を、 L {\displaystyle L} 上の非可換(捻じれた、ともいう)多項式(英語版) a 0 + a 1 τ + a 2 τ 2 + ⋯ {\displaystyle a_{0}+a_{1}\tau +a_{2}\tau ^{2}+\cdots } の環として定義する。この環の乗法は τ a = a p τ , a ∈ L {\displaystyle \tau a=a^{p}\tau ,\quad a\in L} で定義する。 τ {\displaystyle \tau } は一種のフロベニウス元と思える。実際、 τ {\displaystyle \tau } を L {\displaystyle L} にフロベニウス自己準同型として作用させ、 L {\displaystyle L} の要素を乗法で L {\displaystyle L} に作用させることで、 L {\displaystyle L} は L { τ } {\displaystyle L\{\tau \}} 上の左加群になる。環 L { τ } {\displaystyle L\{\tau \}} は L [ x ] {\displaystyle L[x]} の(絶対)加法的多項式 a 0 x + a 1 x p + a 2 x p 2 + ⋯ = a 0 τ 0 + a 1 τ + a 2 τ 2 + ⋯ {\displaystyle a_{0}x+a_{1}x^{p}+a_{2}x^{p^{2}}+\cdots =a_{0}\tau ^{0}+a_{1}\tau +a_{2}\tau ^{2}+\cdots \,} 全体からなる環と考えることもできる。多項式 f {\displaystyle f} は f ( x + y ) = f ( x ) + f ( y ) {\displaystyle f(x+y)=f(x)+f(y)} が( L [ x , y ] {\displaystyle L[x,y]} の要素として)成り立つとき加法的という。加法的多項式の環は、多項式 τ = x p {\displaystyle \tau =x^{p}} で L {\displaystyle L} 上生成される。加法的多項式の環における乗法は、可換多項式の乗法によってではなく多項式の合成によって定義する。これは非可換である。
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加法的多項式の環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 13:47 UTC 版)
例に挙げた τ np (x) たちの任意の k-係数線型結合が、再び加法的多項式となることを見るのは容易い。そこでそれら以外に加法的多項式が存在するかは意味のある問いであるが、実は加法的多項式はそれらに限る。 加法的多項式 P(x), M(x) に対して、点ごとの和 P(x) + M(x) および合成 P(M(x)) が加法的となることが確かめられる。それにより、加法的多項式の全体がこの和と合成に関して環を成すことが従う。この環を k{τp} と書くことにする。この環は k が p-元体 Fp = Z/pZ でない限り可換でない。実際、加法的多項式 ax および xp を取るとき、これらが合成に関して可換であるためには (ax)p = axp から ap − a = 0 でなければならない。a が Fp の元ならばこの方程式の根となれるが、さもなくば等式は成り立たない。
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