刑法学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 16:59 UTC 版)
自由意志と道徳的責任に関する議論は、刑法学においても論点となっている。刑法上の責任は、人は素因的・環境的要因によって制約されつつも制限された範囲で自由な意思決定によって行為しうるとする相対的非決定論を前提として、自由意思(自由意志)による他行為可能性(構成要件に該当する違法な行為を回避できたこと)によって基礎づけられる道義的責任であるという見解(道義的責任論)は戦後刑法学においては通説となった(かつて有力であった人格的責任論も道義的責任を前提とするものである)。伝統的通説はこれを非決定論から説明していたが、近時の有力な見解はこれを決定論(やわらかな決定論、両立可能論)から説明する。このような論争は継続しているものの、他の分野と同じく刑法も通常の思考能力がある人間が自由意志を持つことは自明であるという想定に基づいている。言い換えれば、刑法は自由意志という単なる仮説に依存しているわけで、自由意志が完全に否定された場合は刑法理論が根本的に崩壊してしまうという非常に危うい状況にあると言える。
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