刑事事件の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 08:29 UTC 版)
既判力の本来の意味は、冒頭に掲げたとおり、確定した裁判の後の裁判に対する拘束力のことである。しかし、刑事訴訟の場合は、有罪・無罪・免訴の判決が確定した場合に同一事件について再訴を許さないとする効力、すなわち一事不再理の効力の意味で伝統的に使用されていた。 これは、民事の場合は、前の裁判で判断された権利関係を前提に、その後に変動した権利関係や別個の権利関係につき後の裁判で審理判断することが考えられるのに対し、刑事の場合は、一般的にある時点の犯罪事実があったか否かという判断のみが問題となり、同じ問題は二度と取り上げないという形で裁判の拘束力が問題となるためと考えられる。 しかし、既判力という用語が本来の意味で使われていないために混乱を生じているという批判、犯罪事実の有無について判断しない公訴棄却の裁判については後訴に対する拘束力が問題になるのではないかという批判、そもそも一事不再理の効力は日本国憲法39条が採用した二重の危険の禁止の原則により説明すべきとの批判などが提出されている。そのような批判のため、学者により既判力という用語の使用法に違いが現れ、既判力という用語の使用を避ける立場もある。
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