分類と系統の発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/09 19:48 UTC 版)
「マダガスカルマングース科」の記事における「分類と系統の発生」の解説
歴史的に見てマダガスカルに生息する食肉目の分類は議論の多い問題であったが、分子系統学の研究からはこれらが単系統群であることが示され、マダガスカルマングース科として認められた。またハイエナを含むハイエナ科 Hyaenidae はマダガスカルマングース科およびマングース科の姉妹科として、ジャコウネコ科やネコ科と共にネコ亜目の下位に分類された。 マングース科とマダガスカルマングース科の間の分岐は漸新世(約3,400万年前から約2,300万年前までの期間)にまで遡ることができる。そのころのネコ亜目の種は互いに多くの類似点をもっていたが、とくにネコ類とマングース類の間には共通点が多かった。ネコ上科 Aeluroideaに分類される絶滅種パラエオプリオノドン Palaeoprionodon は、始新世の後期或いは漸新世初期のヨーロッパとアジアの地層から化石が発見されているが、現代のフォッサに似た外観をもっている。一方絶滅したネコ類の一種であるプロアイルルス Proailurus は今日のジャコウネコ類によく似た特徴をもつ。 化石記録ではこのような類似点がみられたものの、現代のマダガスカルマングース科の下位分類であるコバマングース亜科とワオマングース亜科には形態上明らかな違いがあり、コバマングース亜科はジャコウネコ類と、ワオマングース亜科はマングース類との間に類似点がある。コバマングース亜科(フォッサ、コバマングース、マダガスカルジャコウネコ)の耳骨胞(耳嚢、auditary bulla)はジャコウネコに似るが、ワオマングース類はマングース科に似た耳嚢をもつ。こうした特徴から、1996年ロバート・M・ハンター Jrはマダガスカルへの食肉目の渡来は2度あり、1度目はジャコウネコ類、2度目はマングース類であったとした。これに対し、2003年のアン・ヨーダーらによる遺伝子研究からは、原始的なマングース類の渡来が一度あり、その後直ぐに適応放散して多様化したことが示された。このマダガスカルマングース科の共通祖先は漸新世後期から中新世初期(2400万年前 - 1800万年前)にアフリカから、おそらくは漂流物に乗って渡来したとされるが、他方フィリップ・ゴーベールとジェラルディン・ベロンは分岐の年代を1940万年前(2270万年前から1650万年前の間)と見積もっている。
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