内部変数と外部変数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 23:12 UTC 版)
試験管の中に二酸化窒素 NO2 と四酸化二窒素 N2O4 をつめて熱湯につけたら、化学平衡はどのように移動するだろうか。 2 NO 2 ↽ − − ⇀ N 2 O 4 {\displaystyle {\ce {2NO2 <=> N2O4}}} , Δ r H = + 57.5 k J / m o l {\displaystyle \Delta _{\mathrm {r} }H=+57.5~\mathrm {kJ/mol} } NO2 と N2O4 の反応は上記の反応式で表される。体積一定で加熱するのだから、温度も上昇するが圧力も上昇する。結論から言えば、このとき褐色が濃くなり、左方向へ平衡が移動する。 ルシャトリエの原理によると、温度が上がると平衡は吸熱方向 " ⟵ {\displaystyle {\ce {<-}}} " へ移動するはずだが、一方で圧力が上がると、平衡は気体の分子数が減る方向 " ⇀ {\displaystyle \rightharpoonup } " へ移動するはず、という一見矛盾した結果が示される。実験結果では、左方向へ平衡が移動したので、加熱した場合には、温度変化の影響がそれに伴う圧力増加の影響を上回っていたことが分かる。 加熱という外部条件の変化に対してルシャトリエの原理を適用するのは良いが、加熱によって生じる圧力増加という内部条件の変化に対してルシャトリエの原理を適用すると、右方向へ平衡が移動するという誤った結論が導かれる。外部条件の変化に伴う内部条件の変化の影響を外部条件の変化の影響が必ず上回るので、外部条件の変化に対してのみルシャトリエの原理を適用しなければならない。
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