例外としての相互主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/05 15:40 UTC 版)
「著作権の保護期間における相互主義」の記事における「例外としての相互主義」の解説
以上の原則に対し、著作権の保護期間については、内国民待遇の原則が貫徹されておらず、相互主義の採用が許容されている。 ベルヌ条約も万国著作権条約も著作権に対してすべての加盟国が満たさなければならない最低限の要件しか定めていないが、条約上の最低限の保護を超える保護を自国の法律で与えるのは、加盟国の自由である。これは特に著作権の保護期間に関して顕著であり、ベルヌ条約が定める一般的な著作権の最短の保護期間は著作者の死後50年であるが(ベルヌ条約7条1項)、それより長い期間を定めることも許容されており(ベルヌ条約7条6項)、過半の国では、条約に合わせて著作者の死後50年とするが、より長く、著作者の死後70年や、著作者の死後100年まで保護する国もある。そのため、同一の著作物の保護期間が国により異なる結果を生み、ある国では既に著作権の保護期間が終了しているのに対し、別の国では未だ保護期間内であることもあり得る。 このような場合、通常の内国民待遇の例外として、著作物の本国である外国法の保護期間の方が自国の法より短い場合には、その短い保護期間を適用する相互主義が認められる(ベルヌ条約7条8項、万国著作権条約4条4項(a))。長い保護期間を持つ国はこのような短い保護期間を持つ外国の著作物に、より短い保護期間を適用することができる。例えば、コートジボワールの保護期間は著作者個人の死後または法人の公表後99年、ホンジュラスは同75年であるが両国の著作権法では相互主義に基づきより短い方の保護期間を適用することが定められているため、これらの国において、日本の著作物が70年を越えて保護されることはない。 なお、相互主義により外国の保護期間を適用するということは、著作権の保護期間の準拠法が外国法になるという趣旨ではない。著作権の保護に関する準拠法は、あくまでも著作物の利用地法である。相互主義は、準拠法として指定された法、すなわち利用地法の下における外国著作物の保護の程度に関する問題である。
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